姿勢改善で腰痛にサヨナラ!根本から見直す10の新常識

ブログ
姿勢改善で腰痛にサヨナラ!根本から見直す10の新常識
立松 栄二

ブログ著者:立松 栄二

来院総数のべ12万人超え、世界レベルのトレーナーも推薦する整体サロン院長
国家資格保持(鍼灸師)


腰痛に悩む人は年々増加しており、厚生労働省の調査によると日本人の約4人に1人が腰痛を抱えているといわれています。デスクワークの普及、スマートフォンの使用、運動不足などが原因とされていますが、実は多くの人が見落としている“ある共通点”があります。それが「姿勢」です。

本記事では、腰痛の原因になりやすい悪い姿勢のパターンから、整体で整えるべき骨格のバランス、日常生活での注意点、オフィスでの工夫、さらには良い姿勢を習慣化するためのコツまで、10のポイントに絞って徹底解説します。

「どこに行っても腰痛が改善しない」「また痛くなるのが怖い」という方にとって、今後の生活を変えるヒントになるはずです。専門的な知識や具体的な例を交えながら、分かりやすくお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

姿勢を見直すことが、あなたの腰痛対策の第一歩です。

目次

  1. 正しい姿勢が腰に与える影響
  2. 猫背と反り腰が招く痛みの原因
  3.  腰痛を悪化させる座り方とは?
  4.  整体で整える骨盤と背骨のバランス
  5.  日常動作に潜む腰への負担
  6.  ストレッチ前に知っておくべきこと
  7.  腰痛対策に役立つオフィス環境改善法
  8.  イスやデスクの高さを見直すポイント
  9.  整体後の姿勢維持のコツ
  10.  正しい姿勢を習慣化する方法

 

 

1. 正しい姿勢が腰に与える影響

私たちが普段何気なくとっている「姿勢」は、腰に大きな影響を与えています。姿勢が正しく保たれている状態では、骨格や筋肉が自然な位置にあり、重力の影響を最小限にとどめた理想的な体のバランスが保たれます。逆に、姿勢が崩れていると腰椎(腰の骨)に過剰な負担がかかり、腰痛のリスクが格段に高まります。

正しい姿勢とは何か?

「正しい姿勢」とは、立っているときには耳・肩・腰・膝・くるぶしが一直線に並び、座っているときには骨盤が立ち、背骨が緩やかなS字カーブを描く状態を指します。こうした姿勢を保つことで、筋肉や靭帯、椎間板への圧力が均等に分散され、局所的な疲労や炎症が起こりにくくなります。

たとえば、厚生労働省が推奨するVDT(Visual Display Terminals)作業のガイドラインでは、椅子に深く腰かけて背もたれを使うこと、目線とディスプレイの高さを水平に保つことが推奨されています。これも、正しい姿勢を維持するための具体的な方法のひとつです。

姿勢が崩れると腰にどう影響するか

姿勢が崩れると、腰椎が本来のS字カーブから外れ、椎間板に均等ではない圧力がかかります。この状態が長期間続くと、椎間板が変性し、腰痛の原因となる椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を引き起こす可能性が高まります。

また、姿勢の悪さは筋肉のバランスにも影響します。たとえば、前傾姿勢が続くと、腸腰筋や大腿四頭筋が過度に緊張し、反対に背筋や腹筋が弱化します。このアンバランスが骨盤の前傾・後傾を生み、慢性的な腰痛を引き起こすという悪循環に陥ります。

データが示す姿勢と腰痛の関係

日本整形外科学会の調査によると、腰痛患者の約70%が姿勢に問題を抱えていたというデータがあります。また、職業性腰痛の発生率が高い業種(看護・介護・運送など)においても、姿勢改善プログラムを導入したことで腰痛の訴えが平均30%以上減少したという報告もあります。

 

 

2. 猫背と反り腰が招く痛みの原因

現代人に多く見られる猫背や反り腰といった姿勢の癖は、見た目の問題にとどまらず、腰痛の大きな原因にもなっています。どちらの姿勢も腰椎の自然なカーブを崩し、腰部に不自然なストレスを与えることで痛みを生じさせます。

猫背の影響

猫背になると、頭が前に出て背中が丸まり、骨盤が後傾します。この状態は、背骨のS字カーブが失われ、腰椎が平坦化または逆カーブを描く形となるため、椎間板への圧力が一方向に集中しやすくなります。特に、腰椎の4番目と5番目の間にある椎間板は、腰痛の発症頻度が最も高い箇所であり、ここに集中的な負荷がかかることで痛みを引き起こします。

反り腰の危険性

一方、反り腰(腰椎の過前弯)は、骨盤が前傾し、腰椎に過度な反りが生じる状態です。ヒールの高い靴を履く習慣のある人や、妊娠・出産を経験した女性に多く見られます。

反り腰では、腰椎と骨盤を支える筋肉(腸腰筋・脊柱起立筋など)が常に緊張状態となり、腰にかかる負担が大きくなります。さらに、臀部や太もも裏の筋肉が伸ばされて硬くなり、血流が悪くなることで腰痛の慢性化にもつながります。

姿勢のゆがみが他の不調を招くことも

猫背や反り腰は、腰痛だけでなく肩こりや頭痛、消化不良、冷え性などさまざまな体の不調にも関係しています。これは、自律神経が通る脊柱にゆがみが生じることで神経伝達がうまくいかなくなり、全身のバランスが崩れるからです。

正しい姿勢は、全身の健康の土台であるといえます。腰の痛みだけを抑えるのではなく、姿勢を整えることで体全体の調子が整い、結果として自然に腰痛が軽減されることが多いのです。

 

3. 腰痛を悪化させる座り方とは?

長時間座りっぱなしで仕事をする人が増えている現代社会において、「座り方」は腰痛の発症と深く関係しています。座る時間が長ければ長いほど、誤った姿勢が腰に負担をかけるリスクが高まり、慢性的な腰痛につながる恐れがあります。

悪い座り方の代表例

最も腰に負担をかける座り方の一つが「浅く腰かけて背もたれに寄りかかる姿勢」です。この姿勢では骨盤が後傾し、背中が丸まり、腰椎のS字カーブが失われてしまいます。その結果、椎間板にかかる圧力が増大し、腰へのストレスが一気に高まります。

また、「脚を組む癖」も腰に大きな負担を与えます。脚を組むことで骨盤の左右バランスが崩れ、腰椎の軸もねじれます。これが習慣化すると、慢性的な筋肉の緊張やゆがみが生じ、腰痛の原因となります。

座ることで腰にかかる圧力とは?

立っているときに腰椎にかかる圧力を100とすると、正しい座り姿勢でも約140、悪い姿勢ではなんと185にも達するという研究データがあります(Nachemson, 1976)。つまり、悪い姿勢で長時間座るということは、立っている時の約2倍近くの圧力を腰にかけ続けていることになるのです。

長時間の座りすぎによる血流の悪化

長時間同じ姿勢で座ることは、腰部周辺の血流を悪化させ、筋肉の柔軟性を低下させます。特にデスクワーカーの場合、同じ姿勢で3時間以上作業を続けることが多く、これが腰痛の慢性化に拍車をかけています。1時間に1回は立ち上がって軽くストレッチを行うなど、こまめな姿勢の変更が重要です。

腰に優しい座り方のポイント

腰への負担を軽減するためには、骨盤を立てて座る「坐骨座り」が効果的です。坐骨を椅子にしっかりと当て、背筋を伸ばし、膝が股関節より少し下がる程度の角度を保つことが理想です。また、足の裏をしっかり床につけることで骨盤が安定し、姿勢も崩れにくくなります。

日々の座り方を少し見直すだけでも、腰痛のリスクは大きく変わります。まずは自分の座り方を意識して見直すことから始めましょう。

 

4. 整体で整える骨盤と背骨のバランス

腰痛の改善や予防において、整体が果たす役割は非常に大きいといわれています。特に骨盤と背骨のバランスを整えることは、体の構造を根本から見直すことにつながり、長年の腰痛に悩まされてきた人にとっては大きな希望となり得ます。

骨盤は体の土台といわれており、ここが傾いたりねじれたりすることで、その上に乗る背骨にも影響が及びます。たとえば、骨盤が右に傾いていると、背骨はそのバランスを取るために左側に湾曲し、結果として腰にかかる負担が増大します。こうした状態が続けば、筋肉の左右差が生まれ、慢性的な腰痛につながるのです。

背骨は本来、ゆるやかなS字カーブを描いており、この形状が衝撃を吸収するクッションのような役割を果たしています。しかし、姿勢の崩れや運動不足によってこのカーブが消失したり、過剰になったりすると、腰椎に集中する負荷が強まり、痛みの発生源となります。整体ではこのカーブを調整することにより、自然な状態を取り戻す手助けをします。

また、骨盤の傾きには筋肉の硬直も深く関係しています。特に腸腰筋や大腿四頭筋、臀筋などの柔軟性が失われていると、骨盤が前傾・後傾しやすくなります。整体では、筋肉の緊張を緩和する手技も併用するため、より総合的なアプローチが可能となります。

さらに、現代人の多くが知らず知らずのうちに身体にゆがみを蓄積しています。生活習慣によって生じた偏りも視野に入れたバランス調整が行われるため、根本的な体質改善にもつながるのです。

データとしても、骨盤矯正を定期的に受けたグループでは、受けていないグループと比較して腰痛の再発率が40%以上低下したという報告があります。このことからも、骨盤と背骨の調整が腰痛対策に有効であることが裏付けられます。

もちろん整体は万能ではなく、一時的な効果しか得られないケースもありますが、自分の身体のゆがみを知るための入口として非常に有用です。姿勢やバランスの悪さが自覚できれば、日常生活における行動や習慣の見直しにもつながります。腰痛に悩んでいる人こそ、一度自分の骨格バランスを見直すことが必要です。

 

 

5. 日常動作に潜む腰への負担

腰痛は何か特別な行動をしたときだけに起こるものではありません。実は私たちが何気なく行っている日常動作の中にも、腰に負担をかけてしまう要素が多く含まれています。特に立ち上がる、しゃがむ、物を持ち上げる、洗顔をする、靴を履くといった日常的な動きは、姿勢が悪ければ腰に大きなストレスを与える可能性があります。

例えば、重い物を持ち上げるときに膝を使わず腰だけで引き上げると、腰椎の一部に過度な圧力がかかります。これはぎっくり腰や椎間板ヘルニアを誘発する原因にもなります。本来、物を持つときは膝を曲げて腰を落とし、腰と背中をまっすぐにした状態で持ち上げることが正しいフォームとされています。

また、長時間の中腰姿勢は、腰部の筋肉と靭帯に継続的な負担をかけます。特に家事や育児、介護などの場面では、このような姿勢が繰り返されることが多く、知らず知らずのうちに腰の疲労が蓄積していきます。

洗顔や靴を履くときの前かがみ姿勢も腰に悪影響を与えます。前傾姿勢になると体の重心が前方に移動し、それを支えるために腰の筋肉が過剰に緊張します。この状態が習慣化すると、筋肉の張りが慢性化し、腰痛の原因となるのです。

一方で、立ちっぱなしの姿勢も腰にとっては負担となります。筋肉が常に緊張状態となり、血流が悪くなることで筋疲労が起こりやすくなります。特に調理やレジ打ち、接客業などの仕事では、適度に休憩を挟んで座ることが腰痛予防につながります。

こうした日常動作のリスクを減らすためには、まず自分の動きに意識を向けることが大切です。自分がどんな姿勢で行動しているかを把握し、無意識の動作を見直すことが腰痛予防の第一歩となります。

さらに、国際労働機関(ILO)の報告によると、作業姿勢の悪さが原因で腰痛を発症する労働者の割合は全体の約30%にのぼるとされています。つまり、日常動作に対する意識と改善は、腰痛を未然に防ぐだけでなく、生産性の向上や生活の質の向上にもつながるのです。

 

6. ストレッチ前に知っておくべきこと

腰痛対策としてストレッチを取り入れている人は多いですが、その前に知っておくべき重要なポイントがあります。適切な知識がないまま行うストレッチは、かえって筋肉や関節に負担をかけ、腰痛を悪化させる原因にもなり得ます。ストレッチは正しい方法とタイミング、体の状態に合わせた内容で行うことが、効果を最大化するためのカギです。

まず大前提として、痛みが強く出ているときのストレッチは避けるべきです。急性期の腰痛では、筋肉や靭帯が炎症を起こしている可能性があり、無理に伸ばすと損傷を広げてしまう恐れがあります。このような場合は、アイシングや安静を優先し、症状が落ち着いてから段階的にストレッチを取り入れることが推奨されます。

また、自分の身体の硬さを理解することも重要です。筋肉の柔軟性は人それぞれ異なり、標準的なストレッチでも負担になることがあります。特に腰部のストレッチでは、無理に背中を丸める、反らすといった動きが腰椎に強い圧をかけてしまい、かえって悪影響を及ぼします。ストレッチは「気持ちいい」と感じる範囲で行うことが原則です。

さらに、効果的なストレッチには「筋温」を上げることが前提です。つまり、冷えた体で急にストレッチをするのではなく、軽い有酸素運動(ウォーキングやその場足踏みなど)を2〜3分行ってから行うことで、筋肉が柔らかくなり、より安全で効果的なストレッチが可能になります。

厚生労働省のガイドラインでも、ストレッチの効果を得るには「1日1〜2回、10分以上の実施が有効」とされていますが、頻度よりも継続性が重要です。無理なく毎日続けられる範囲で行うことが、腰痛改善において最大の効果を生み出します。

腰痛の予防や改善のためにストレッチを行う際は、正しい知識と体の状態を理解したうえで、安全かつ効果的に行うことが何よりも大切です。何となく伸ばしているだけでは効果は半減します。まずは「なぜそのストレッチを行うのか」「どの部位に効かせたいのか」を意識することから始めましょう。

 

7. 腰痛対策に役立つオフィス環境改善法

長時間座って作業を行うオフィスワークは、腰にとって最も過酷な環境の一つです。しかし、仕事の性質上避けられないこのスタイルにおいても、環境を見直すことで腰痛の予防・改善は可能です。腰に負担の少ないオフィス環境を整えることは、働く人の健康だけでなく、業務効率や生産性にも好影響を与えます。

まず最も重要なのは「椅子と机の高さのバランス」です。正しい座り姿勢を維持するためには、椅子に深く腰掛けた際に、膝がほぼ直角になり、足裏が床につく高さが理想です。さらに、机は肘を自然に曲げた状態で、肘と机の高さが一致するのがベストです。これにより、肩が上がったり、前のめりになったりすることを防ぎ、腰への負担を軽減できます。

また、ディスプレイの位置も重要です。画面が低すぎると、自然と前傾姿勢になり、首や背中、腰への負担が増します。ディスプレイの上端が目の高さと同じになるよう調整することで、背筋を伸ばした姿勢を保ちやすくなります。複数のモニターを使用する場合は、中心になる画面を正面に配置し、首の回転や目線のズレを最小限にする工夫が求められます。

さらに見逃されがちなのが「照明の質」です。暗い環境では目の疲れを補おうと姿勢が崩れがちになります。自然光を取り入れた明るい作業環境や、適切なデスクライトの設置は、正しい姿勢維持のサポートになります。

環境の工夫だけでなく、「座りっぱなしを避ける工夫」も重要です。例えば、1時間に一度は立ち上がってストレッチをする、立ったままでも作業ができる昇降式デスクを導入する、電話を受ける際には立つ習慣をつけるなど、些細な工夫が腰の健康に大きく寄与します。

最近では、海外企業を中心に「アクティブオフィス」という考え方が浸透しています。これは、従業員が意識的に体を動かすように設計された職場環境のことで、スタンディングミーティングや歩きながらの打ち合わせなども取り入れられています。実際、こうした環境を取り入れた企業では、腰痛の発生率が最大で40%近く減少したという報告もあります。

 

8. イスやデスクの高さを見直すポイント

腰痛の原因のひとつに、日常的なデスクワークで使用しているイスや机の高さが体に合っていないという問題があります。特に多くの人が長時間座ることになるオフィスや在宅勤務環境では、ほんの数センチの差が腰への大きなストレスとなり、慢性的な痛みを引き起こす原因になります。だからこそ、自分の体格や姿勢に合った適切な高さを知り、調整することが腰痛予防には欠かせません。

イスの高さは、座ったときに太ももが床と水平になること、そして膝の角度が90度〜100度程度になることが理想とされています。足の裏が床にぴったりとついている状態が、骨盤の安定と背骨の自然なS字カーブを維持するための基本です。足が浮いたり、逆に膝が過度に曲がっていると、骨盤が後傾し腰椎に負担が集中します。

机の高さについては、肘を90度に曲げてリラックスした状態でキーボードやマウスに自然に手が届く位置が理想です。高すぎると肩が上がり首や腰に負担がかかり、低すぎると前かがみになってしまい、猫背や腰椎の圧迫を引き起こします。高さが合わない場合は、イスにクッションを敷く、フットレストを使用するなどして調整することができます。

特に注意したいのが、ノートパソコンの使用時です。画面とキーボードが一体化しているため、正しいディスプレイ位置を保ちにくく、首を前に出してしまう「ストレートネック」や、前傾姿勢による腰痛を引き起こしやすい構造です。外付けキーボードやモニターを組み合わせて、目線が自然に前を向くようにすることが大切です。

座面の奥行きも見直すポイントです。座面が深すぎると背もたれに寄りかかれず、浅すぎると太ももを支えられず体が不安定になります。座ったときに背もたれと腰の間にこぶし1個分程度のすき間がある状態が理想です。必要であれば、ランバーサポートを取り入れることで腰椎をしっかり支えることができます。

調整可能なオフィスチェアやデスクがある環境であっても、使い方を理解しなければ意味がありません。厚生労働省のVDT作業ガイドラインでも、「自席の環境調整が可能であること」が作業者の健康を守る上で重要であるとされています。

イスとデスクの高さを見直すことは、決して難しいことではありませんが、日常に埋もれてしまいがちなポイントです。腰痛に悩む人ほど、この基本的な部分を見直すだけで、驚くほど症状が改善するケースも少なくありません。自分にとって快適な座位環境を再構築することは、腰痛だけでなく全身の健康にも直結する重要なステップです。

 

 

9. 整体後の姿勢維持のコツ

整体を受けた直後は「体が軽くなった」「腰の痛みが和らいだ」と感じることが多いものですが、その効果を長く維持できるかどうかは、日常生活での姿勢の保ち方に大きく左右されます。せっかく調整された骨盤や背骨のバランスも、普段の悪い姿勢に戻ってしまえば、またすぐに元の状態に戻ってしまうからです。整体後の姿勢維持には、日常での小さな意識と習慣づけが非常に重要です。

まず意識したいのが「立つ・座る・歩く」の基本動作の質です。整体後は筋肉がゆるみ、骨格が本来の位置に近づいているため、この状態をキープするには、常に中心軸を意識した動作が求められます。立っているときは、左右の足に均等に体重をかけ、骨盤の真上に肩と頭が乗るようなイメージを持つことがポイントです。

座るときは、坐骨で座る感覚を忘れずに、背中を背もたれにつけすぎず、軽く自立した状態を保つことが理想です。また、深く腰掛けて骨盤を立てるように座ることで、自然な姿勢を維持しやすくなります。長時間座り続けることは避け、30〜60分に一度は立ち上がって軽いストレッチや歩行を取り入れると効果的です。

歩行についても、片足に重心をかけてだらだらと歩くのではなく、足の親指で地面をしっかりと押し出すような感覚で歩くことが、骨盤のゆがみを防ぐカギとなります。背筋を伸ばし、視線をまっすぐ前に保つことで、姿勢全体のバランスも整います。

姿勢の維持には、筋力も欠かせません。特に体幹(腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋)の筋力は、正しい姿勢を保つ土台となります。簡単な自重トレーニングでも構わないので、継続的に体幹を鍛える習慣を身につけることで、姿勢の崩れを防ぐことができます。

また、呼吸も重要な役割を果たします。浅い呼吸になりがちな現代人にとって、深くゆったりとした腹式呼吸を意識することは、体幹の安定と精神的なリラックスの両面から姿勢の保持を助けます。朝の深呼吸や瞑想を習慣にするのも効果的です。

整体の施術後は「元に戻らないように」と過度に意識しすぎてしまうことがありますが、自然な姿勢を身につけるにはリラックスと意識のバランスが重要です。生活の中で少しずつ正しい姿勢を習慣化していくことで、整体の効果を長く保ち、腰痛の再発を防ぐことができます。

 

10. 正しい姿勢を習慣化する方法

腰痛を根本から改善し、再発を防ぐには、一時的な対処ではなく「正しい姿勢を習慣化すること」が最も重要です。整体やストレッチで一時的に痛みが軽減しても、日常的に悪い姿勢を取り続けていれば、いずれ痛みは戻ってきます。では、正しい姿勢を無理なく、そして持続的に習慣化するには、どのような方法が効果的なのでしょうか。

まず、習慣化の第一歩は「自分の姿勢を客観的に知ること」です。多くの人は、自分がどのような姿勢で日常生活を送っているのかを正確に認識していません。スマートフォンのカメラや鏡を使って、立ち姿・座り姿を撮影してみることで、自分の姿勢の癖やゆがみを視覚的に把握することができます。特に、骨盤の前傾・後傾、猫背、肩の左右差などを意識的に観察することが大切です。

次に、環境の整備が欠かせません。前述したとおり、イスや机の高さ、モニターの位置などを自分に合った形に調整することで、正しい姿勢を保ちやすくなります。さらに、姿勢保持のサポートになるアイテムとして、ランバーサポートやバランスボールチェアの活用も効果的です。これらは座るだけで自然と背筋が伸びるよう設計されており、無理なく姿勢矯正に取り組むことができます。

また、習慣化には「定期的なリマインダー」が有効です。デスクトップに姿勢チェックのメモを貼る、スマートウォッチで1時間ごとに立ち上がるアラームを設定するなど、小さな仕組みを日常に取り入れることで、無意識に姿勢を正すきっかけを増やすことができます。

筋力トレーニングも習慣化を支える大きな要素です。特に姿勢維持に必要なインナーマッスル(腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋)は、目に見えにくい部分ですが、体の軸を支える役割を担っています。プランクやブリッジといった体幹トレーニングを継続することで、自然と姿勢が安定し、意識せずとも正しい姿勢を取りやすくなります。

さらに、姿勢に意識を向ける習慣として、マインドフルネスの実践も効果的です。毎日数分、呼吸に集中する時間を設けることで、自分の身体感覚に敏感になり、無意識に崩れた姿勢にも気づきやすくなります。このような内面的なアプローチは、デスクワークやストレスの多い日常の中でも姿勢を保つ助けになります。

文部科学省の調査によると、姿勢矯正プログラムを3か月継続した学生グループでは、腰痛の発症率が半減したというデータもあります。つまり、正しい姿勢の習慣化は、年齢や職業に関係なく効果が期待できる取り組みであることが明らかです。

姿勢を習慣にするには時間がかかります。しかし、毎日の小さな工夫と意識の積み重ねが、やがて自然な姿勢をつくりあげ、腰痛のない生活へと導いてくれるのです。

 

 

姿勢を整える小さな一歩が、あなたの人生を大きく変える

腰痛に悩む多くの人が、日々の生活に支障を感じながらも、「これは仕方ないもの」「年齢のせい」とあきらめがちです。しかし本記事で紹介した通り、腰痛の原因の多くは日常の姿勢や習慣に起因しており、つまりは自分の意識と行動によって改善の可能性が十分にあるということです。

正しい姿勢を意識するだけで、腰にかかる負担は大きく軽減され、筋肉や骨格のバランスも自然に整っていきます。整体やストレッチ、オフィス環境の改善、生活動作の見直しなど、一つひとつの取り組みは小さなことかもしれません。しかし、それらを継続して積み重ねていくことで、確実に身体は変わり、腰痛から解放された毎日が実現します。

また、姿勢を整えることは単に腰痛を和らげるだけでなく、全身の血流や代謝の改善、集中力の向上、さらには自信に満ちた印象を与えるという心理的な効果にもつながります。これは健康的な身体と心を育む基盤であり、人生の質を高める重要な要素です。

今の自分の姿勢に少しでも疑問や違和感を感じているなら、それが変化のきっかけです。まずは自分の身体と向き合い、小さな改善を今日から始めてみてください。姿勢は習慣であり、習慣は人生そのものを形づくります。

腰痛に悩まない、そして前向きな毎日を過ごせるように。あなたの一歩が、明日の快適な身体をつくる第一歩になります。

 

 

この記事を書いた人

立松 栄二

「整体サロンEX」院長 | 鍼灸師(国家資格)

立松 栄二

開院以来のべ12万人以上が来院する愛知県刈谷市の「整体サロンEX」院長。

元サッカーJ1トレーナーや元世界選手権帯同トレーナーなどの著名人も推薦する独自の技術で、身体の痛みやコリなどの不調を根本的な改善に導くため日々施術を行っている。

もっと知る

施術家になった経緯や、どのような想いでこのブログを書いているかを語らせていただいています。