
デスクワークをしていると、いつの間にか頭痛に悩まされることはありませんか?「夕方になるとズキズキ痛む」「パソコン作業をしていると目の奥が重い」「肩や首のこりと一緒に頭まで痛くなる」など、オフィスや在宅勤務にかかわらず、慢性的な頭痛を感じる方が増えています。
厚生労働省の調査によると、日本の就業者の約6割が日常的にパソコンを使用しているとされており、さらにその中の多くが頭痛・眼精疲労・肩こりを訴えています。特にテレワークの普及により、通勤がなくなった分、座りっぱなしで過ごす時間が増加していることも大きな要因となっています。
こうした「デスクワーク由来の頭痛」は、一時的に薬で和らげることができても、根本的な原因が残っていれば、何度でも繰り返してしまいます。では、どうすればこの不調のサイクルを断ち切れるのでしょうか?実は、日常のちょっとした“姿勢”や“習慣”を見直すことで、大きな改善が期待できるのです。
本記事では、整体や体の仕組みに基づいた専門的視点から、「デスクワークによる頭痛を軽減するための10の習慣」をわかりやすく解説していきます。画面との距離、椅子の高さ、目の使い方、休憩のタイミングなど、すぐに取り入れられる実践的なポイントばかりです。
「どうせ我慢するしかない」「体質だから」と諦めてしまう前に、自分の姿勢や仕事環境を見直してみませんか?今よりも快適に、そして頭痛のない毎日を手に入れるためのヒントを、この記事で見つけてください。
目次
1. 画面との距離と姿勢の関係性
2. 長時間座ることが引き起こす負担とは
3. 整体で姿勢を調整する意味とは?
4. 目と首の疲れが頭痛を招く理由
5. 作業中の簡単ストレッチの紹介
6. モニターと椅子の高さ調整がカギ
7. 集中力低下と頭痛の相関関係
8. 休憩の取り方で変わる体の調子
9. 肩・首まわりをほぐすリフレッシュ法
10. 仕事終わりの頭痛予防ケア習慣
1. 画面との距離と姿勢の関係性
デスクワーク中に多くの人が見落としがちなのが「画面との距離と姿勢のバランス」です。パソコンのディスプレイが近すぎたり、逆に遠すぎたりすると、無意識に前かがみになったり首を突き出すような姿勢になってしまいます。これが慢性的な肩こりや眼精疲労を引き起こし、最終的に頭痛につながるのです。
理想的な画面との距離は「目から40〜70cm程度」と言われており、目線がモニターの上端にくるように設置すると、自然と首や背中に負担がかからない姿勢が保てます。これを維持することで、首から肩にかけての筋肉群の緊張を和らげることができ、頭部への血流がスムーズに流れるようになります。
しかし現実には、ノートパソコンを机の上に直置きして画面を見下ろすような環境で作業している人が少なくありません。こうした姿勢は、首の後ろ側の筋肉である「僧帽筋上部」や「肩甲挙筋」を常に収縮させた状態にし、これが継続することで筋緊張型頭痛を誘発します。つまり、画面の高さや距離を整えることは、頭痛予防に直結する重要な要素なのです。
また、椅子の座面の高さやモニターの位置によっても姿勢は大きく左右されます。椅子に座った際に膝の角度が90度、足裏が床にしっかりついている状態を基本とし、腕は自然に肘掛けや机の高さに収まるように調整しましょう。肘が常に浮いた状態では肩が上がりやすくなり、首の筋肉に余分な緊張をもたらしてしまいます。
環境調整だけでなく、30分〜1時間に1度は意識的に座り直すことも効果的です。自分がどんな姿勢をとっているのか、鏡やスマホのカメラで確認してみるのも有効な手段です。
日本整形外科学会の調査によれば、「不良姿勢に起因する慢性頭痛」を訴える労働者の割合は年々増加傾向にあり、その多くが「姿勢改善」で症状が緩和したと報告しています。つまり、姿勢の乱れは頭痛の“原因”であるだけでなく、“改善可能なポイント”でもあるのです。
2. 長時間座ることが引き起こす負担とは
デスクワークに従事する人が直面する最大のリスクのひとつが、「長時間同じ姿勢を続けることによる筋肉の静的負荷」です。立ち仕事と異なり、座り姿勢は筋肉の活動量が極端に少なくなる一方で、一定の筋肉群に持続的な緊張を強いるため、慢性的なコリや血流障害を引き起こしやすくなります。
特に影響を受けやすいのが、背中や肩、首周辺の筋肉です。これらの筋肉は、頭を支えたり、前傾姿勢を維持したりするために無意識に使われ続けます。体重の約10%を占める頭部を長時間支えるというのは、筋肉にとって想像以上に大きな負担となっており、これが血流の滞りとともに頭痛へとつながります。
また、座位を続けることで骨盤が後傾しやすくなり、背骨の自然なカーブ(S字カーブ)が崩れてしまいます。これにより、腰痛だけでなく胸郭の動きも制限され、呼吸が浅くなり、酸素供給が低下することもあります。酸素が脳へ十分に行き渡らないことで、脳内の血管が拡張し、拍動性の頭痛(片頭痛のような痛み)を引き起こすリスクも高まります。
対策として有効なのは、「こまめな立ち上がり」「体勢の変更」「ストレッチの実施」です。厚生労働省の「健康日本21」では、長時間の座位作業に従事する人に対して「30分に1回は1〜2分程度の立位や歩行を取り入れること」を推奨しています。これは単なる気分転換ではなく、筋肉の血流を促進し、神経伝達物質のバランスを整えるための重要なアクションです。
さらに、デスク下に足置きを設置したり、バランスボールを椅子代わりに使うなど、筋肉を“動かしながら座る”という工夫も有効です。デスクワーカーに特化したオフィス家具や姿勢補助グッズも近年は多く開発されており、腰や首のサポートを取り入れることで、負担の分散と頭痛予防が同時に可能になります。
3. 整体で姿勢を調整する意味とは?
整体というと、肩こりや腰痛のケアというイメージを持つ人が多いかもしれませんが、実は“頭痛の根本原因”にアプローチできる施術のひとつとしても注目されています。特にデスクワークによる筋緊張型頭痛や姿勢不良に起因する片頭痛において、整体が果たす役割は大きく、単なるリラクゼーションを超えた「調整療法」としての側面を持ちます。
整体では、骨盤・背骨・頚椎などのアライメント(骨の並び)に注目し、筋肉や関節の動きを本来あるべき状態へと導くことを目的とします。姿勢が歪んでいると、特定の筋肉が過度に緊張したり、逆に使われない部位が出てきたりするため、全体のバランスが崩れて頭部への血流や神経伝達にも悪影響を及ぼします。
たとえば、頚椎(首の骨)の並びが乱れていると、後頭部を通る神経や血管が圧迫され、慢性的な頭痛が生じます。整体では、これらの歪みを手技によりやさしく整え、筋肉のバランスを正常に戻していきます。すると、血流が回復し、酸素や栄養が脳へ届きやすくなり、頭痛の頻度や強度が軽減されるのです。
また、整体は単に施術を受けるだけでなく、「自分の体の癖を知る機会」としても有効です。施術中に施術者から「左肩が前に出やすい」「腰が反っている」など具体的な指摘を受けることで、日常の姿勢を意識しやすくなります。これが予防意識の向上につながり、デスクワーク中もこまめに姿勢を正す習慣が身につくのです。
最近では、IT企業やコワーキングスペースに整体サービスを導入している例も増えており、定期的な姿勢チェックがパフォーマンス向上につながるという認識が広まりつつあります。頭痛を「気合や薬で乗り切る」から、「体を整えて未然に防ぐ」スタイルへとシフトすることが、現代の働き方において重要になってきているのです。
4. 目と首の疲れが頭痛を招く理由
デスクワーク中に多くの人が感じる不調のひとつに、目の疲れと首のこりがあります。一見するとこの2つは別々の症状に思えるかもしれませんが、実は深い関連性があり、その延長線上に「頭痛」があることはあまり知られていません。目と首の疲労がどのようにして頭痛へとつながるのかを理解することで、根本的な対策が見えてきます。
まず、パソコンやスマートフォンを長時間見続けることで「眼精疲労」が発生します。眼精疲労とは、目の筋肉(毛様体筋や外眼筋)が長時間緊張を強いられ、疲労物質が蓄積してしまう状態のことを指します。この状態が続くと、視神経が脳に与える刺激が増加し、視床や脳幹を経由して自律神経が乱れやすくなります。その結果、頭痛、吐き気、めまいといった症状が現れることがあるのです。
さらに、目の疲れは無意識のうちに「首を前に出す姿勢」を強化させてしまいます。画面に顔を近づけるような姿勢を続けることで、首の後ろ側の筋肉(特に後頭下筋群や僧帽筋上部)が過剰に緊張し、それが「筋緊張型頭痛」の直接的な原因になります。特に、後頭部の奥にある小さな筋肉が硬くなると、そこにある神経が圧迫され、後頭部からこめかみにかけてのズキズキとした頭痛が生じやすくなります。
国際頭痛学会の分類によれば、このような“筋肉由来の頭痛”は一次性頭痛の中でも頻度が高く、全体の約3割以上が該当するとされています。つまり、目と首の疲れを軽視せず、適切なケアを行うことが頭痛の根本的な予防につながるのです。
対策としては、1時間に1回は画面から目を離して遠くを見る「20-20-20ルール(20分作業したら20秒、20フィート=約6メートル先を見る)」を実践することが推奨されています。また、ホットアイマスクなどを使って目元を温めることも、眼精疲労の緩和に効果的です。
首のストレッチも忘れてはいけません。肩甲骨を寄せて胸を開く動作、首をゆっくり左右に倒す運動、耳を肩につけるような動きなどを毎日数回行うだけでも、筋肉の柔軟性が保たれ、頭痛の予防につながります。重要なのは、痛みが出てから対処するのではなく、目と首の疲れを“蓄積させない”意識を日常に組み込むことです。
5. 作業中の簡単ストレッチの紹介
デスクワークによる頭痛を防ぐうえで、最も手軽でかつ効果的な手段のひとつが「作業中に行う簡単なストレッチ」です。特別な道具やスペースを必要とせず、イスに座ったままでもできるストレッチは、筋肉の血流を促進し、疲労物質の蓄積を防ぐ効果があります。
たとえば、首周りの緊張を和らげるには、「首の側屈ストレッチ」が有効です。背筋を伸ばして座り、右手で頭の左側を持ち、右肩方向にゆっくり倒します。このとき左肩が上がらないよう注意し、呼吸を止めずに15〜20秒キープしましょう。反対側も同様に行います。
肩こり対策としては、「肩甲骨回し」がおすすめです。両肩に指を当てて肘で大きな円を描くように前から後ろ、後ろから前へと10回ずつ回すだけでも、肩甲骨周辺の筋肉が動き、血行が改善されます。特に長時間同じ姿勢を続けていた後に行うと、筋肉のこわばりが緩み、リラックス効果も高まります。
また、デスクでできる「体幹ひねりストレッチ」も有効です。両手を胸の前で組んで息を吐きながら上半身をゆっくり左右にねじることで、背骨周辺の硬直を解きほぐし、背筋の柔軟性を保つことができます。背骨が柔軟になることで、頭部への神経伝達や血流もスムーズになり、頭痛予防につながります。
厚生労働省の「職場における労働者の健康確保対策」においても、「短時間のストレッチや体操を日常的に行うことが、筋骨格系障害の予防に寄与する」と明記されており、科学的な裏付けもあります。
これらのストレッチは、すべて1〜2分あればできるものばかりです。重要なのは、仕事に集中しすぎて自分の体の緊張に気づかなくなる前に、あらかじめタイマーやアプリを使って「動くきっかけ」をつくっておくことです。少しの意識が、午後のパフォーマンスや一日の体調に大きな違いを生むのです。
6. モニターと椅子の高さ調整がカギ
デスクワーク環境で頭痛を感じる人の多くは、「モニターと椅子の高さ」が合っていないことに気づいていません。実は、モニターの位置や椅子の座面の高さを適切に設定するだけで、頭痛をはじめとする身体の不調は大幅に軽減される可能性があります。
まず基本として、モニターの上端が目線の高さにくるように調整するのが理想です。これは、視線が下向きすぎても上向きすぎても、首の筋肉に負荷がかかりやすく、後頭部の緊張による頭痛の原因となるためです。特にノートパソコンを使用している場合は、画面の角度が固定されているため、外部モニターやPCスタンドを利用して視線の高さを調整することが推奨されます。
椅子の高さについても、足が床につかない状態はNGです。膝が約90度になるように調整し、座面の奥まで深く座ることで骨盤の安定性が増し、背骨から首にかけての姿勢が正しく保たれるようになります。逆に浅く座って背もたれに寄りかかるような座り方は、腰が丸まり首が前に出る「猫背姿勢」を助長し、結果として首や後頭部の筋緊張を招きます。
また、肘の角度にも注意が必要です。キーボードやマウスを使うとき、肘が自然に90度に曲がり、肩がすくまない位置に腕を置けるようにしましょう。肘が下がりすぎると肩の筋肉に力が入り、逆に高すぎると首の付け根に余分な負担がかかります。これが蓄積されると、僧帽筋や肩甲挙筋に緊張が走り、頭痛の引き金になることがあります。
オフィスチェアを選ぶ際には、座面の高さ調整・背もたれの角度・アームレストの有無などをチェックし、自分の体格やデスク環境に合ったものを選びましょう。高さが合わない場合は、足置きやクッションを活用するのも効果的です。
最近では、厚生労働省も「職場におけるVDT作業の労働衛生管理指針」において、モニター位置・椅子の設計・照明の明るさまで含めた「環境調整」が労働者の健康維持に不可欠であると強調しています。つまり、頭痛を感じたときには“体に原因がある”だけでなく、“環境に原因がある”ことも疑ってみるべきなのです。
7. 集中力低下と頭痛の相関関係
デスクワーク中に「集中力が途切れる」と感じたことがある人は多いはずですが、それと同時に頭痛を感じることも少なくありません。実は、集中力の低下と頭痛は密接に関係しており、この二つが相互に悪影響を及ぼし合う悪循環に陥ることもあります。
まず、集中力が低下する原因には、睡眠不足、栄養不足、ストレスなどさまざまありますが、デスクワークの場合は特に「脳の酸素不足」と「筋肉の緊張」が大きな要因になります。長時間同じ姿勢で座り続けていると、背中や首、肩の筋肉が硬直し、血流が悪くなります。その結果、脳への酸素や栄養の供給が低下し、脳が十分に機能しにくい状態となり、集中力が続かなくなるのです。
このような状態が続くと、脳の緊張状態がさらに強くなり、神経系が過敏に反応するようになります。特に、視覚や聴覚の情報処理を担う大脳皮質が疲労すると、頭重感やズキズキとした痛みを引き起こす可能性があります。これは、いわゆる「緊張型頭痛」や「片頭痛」に該当する症状で、特に午後の時間帯に集中して現れることが多い傾向にあります。
集中力と頭痛の関係を理解することで、有効な対策が見えてきます。たとえば、集中力を持続させるためには「タスク管理」が効果的です。作業時間を25分、休憩5分のサイクルで区切る「ポモドーロ・テクニック」などを取り入れることで、一定のリズムで脳を休ませることができます。短時間の休憩中には、立ち上がって軽く体を動かしたり、水分を摂取したりすることが理想的です。
また、オフィス環境の明るさや音の大きさ、温度・湿度なども集中力と頭痛に大きく関わります。明るすぎる照明や、エアコンの風が直接当たる環境は自律神経を乱し、頭痛の引き金になる可能性があります。作業環境が整っていないときは、イヤープラグやデスクライト、加湿器などを活用して、集中しやすく快適な状態をつくる工夫も必要です。
つまり、集中力が落ちてきたときには、それを「仕事へのやる気の問題」と捉えるのではなく、「身体が発する不調のサイン」として注意を払うことが大切です。集中力を保つことは、結果として頭痛の予防にもつながるという意識をもって、日々の働き方を見直してみましょう。
8. 休憩の取り方で変わる体の調子
デスクワークの合間に「休憩を取っているつもり」でも、それが実際に身体や脳のリフレッシュにつながっていないケースは非常に多く見られます。短時間のスマホ操作やコーヒーを飲みながらの雑談などは気分転換にはなりますが、筋肉や神経系の緊張をほぐすという意味では、効果が不十分なことも少なくありません。頭痛の軽減や集中力の回復を目的とした「正しい休憩」の取り方を理解することで、日常の疲労や頭痛の予防につながります。
最も重要なのは、休憩時間中に「視線と姿勢を変えること」です。長時間パソコン画面を見続けていると、目の筋肉が疲れ、視神経にも負担がかかります。これが目の奥の痛みや前頭部の締めつけ感につながります。これを防ぐには、20〜30分に1回、1分間だけでも画面から視線を外し、遠くの風景や植物、窓の外などを眺めることで目の緊張が緩和されます。
姿勢に関しては、座りっぱなしの状態から一度立ち上がり、全身の筋肉を軽く伸ばすことが効果的です。特に、首・肩・腰・ふくらはぎといった、血流が滞りやすい部位を意識的に動かすことで、筋肉のポンプ作用が働き、血液が全身に巡るようになります。この循環促進こそが、頭痛やだるさを軽減させるポイントです。
近年では、働き方改革の一環として「アクティブレスト(積極的休養)」という考え方が注目されています。アクティブレストとは、あえて軽い運動やストレッチを取り入れることで、身体の機能を活性化し、リフレッシュ効果を高める方法です。デスクワーク中にも、ラジオ体操のような簡単な動作を導入する企業も増えてきており、その効果は実証されています。
また、脳の働きを整えるという意味では、深呼吸を取り入れることも有効です。鼻から4秒吸って、口から8秒でゆっくり吐き出すという深呼吸を数回繰り返すだけで、副交感神経が優位になり、緊張がほぐれます。これにより、神経の興奮が鎮まり、頭痛の発生を抑える効果が期待できます。
このように、ただ「何もしない時間」を設けるだけでなく、「回復に向けた具体的な動き」を意識的に取り入れることで、デスクワークの質と体調は大きく変わります。あなたのその5分の休憩が、午後からの生産性と頭痛予防の鍵になるのです。
9. 肩・首まわりをほぐすリフレッシュ法
デスクワークで最も疲労が蓄積しやすい部位のひとつが、肩と首まわりです。特にパソコン作業や資料の確認を繰り返すうちに、知らず知らずのうちに肩が上がったまま固定され、首の動きも制限されてしまうというケースが非常に多いです。この状態が続くと筋肉が硬直し、血流が滞って頭痛や吐き気、目の奥の痛みを引き起こすことさえあります。
こうした症状を防ぐためには、定期的に肩・首まわりをほぐして「循環を回復させる」ことが重要です。まず紹介したいのが、簡単にできる「肩回しエクササイズ」です。両手を肩に置いて、肘で大きな円を描くように前まわし・後ろまわしをそれぞれ10回ずつ行います。これにより肩甲骨が動き、肩周辺の血流が改善されます。
次に、首の緊張を解く「タオルストレッチ」もおすすめです。タオルを首の後ろに当てて両端を手で持ち、頭を後ろに倒す動作をサポートしながら行うことで、首の後ろ側の筋肉がやさしく伸び、神経の圧迫が解消されます。これを1日2〜3回取り入れるだけでも、後頭部の緊張型頭痛の予防になります。
また、肩まわりの筋肉を刺激する「肩甲骨寄せ体操」も効果的です。背筋を伸ばして両肘を後ろに引き、肩甲骨を中央に寄せるようにして5秒キープし、ゆっくり戻す動作を10回ほど繰り返すことで、筋肉がほぐれ姿勢も安定しやすくなります。
オフィスで人目が気になる場合でも、肩をすくめてからストンと落とすだけの「肩すとん運動」や、ゆっくり首を左右に回す「ネックローテーション」など、座ったままできるリフレッシュ法を習慣化することがカギになります。
一日の中で最も頭痛が発生しやすいのは、肩や首の筋肉が長時間緊張したあとの夕方といわれています。だからこそ、朝のうちから定期的にほぐす意識をもって、筋肉の柔軟性を保ち続けることが、最終的には頭痛のない快適なデスクワークを支える大切な要素になるのです。
10. 仕事終わりの頭痛予防ケア習慣
仕事終わりに頭痛を感じるという悩みを持つ人は少なくありません。特にデスクワークが中心の人にとって、1日中同じ姿勢で過ごすことによる疲労の蓄積は、血流の悪化や神経の緊張を招き、頭痛を引き起こす大きな原因となります。これを予防するためには、仕事後の「ケア習慣」を日常に取り入れることが重要です。
まず注目すべきは「入浴のタイミングと方法」です。シャワーで済ませる人も多いですが、できるだけ湯船に浸かって身体を温めることで、全身の血行が促進されます。38~40度のぬるめのお湯に15〜20分間浸かると、副交感神経が優位になり、緊張状態からリラックス状態へと切り替わります。これにより、首や肩の筋肉が緩み、神経の圧迫が和らぐことで、頭痛を予防しやすくなります。
また、入浴後に取り入れたいのが「ストレッチやヨガのような軽い運動」です。特に、肩甲骨まわりや背中、首にかけての柔軟性を高めるポーズを5分間でも行うことで、筋肉の緊張をしっかり解きほぐすことができます。たとえば、両手を背中で組んで胸を開く「チェストオープナー」や、背骨をゆるやかにねじる「ねじりのポーズ」は、姿勢改善と頭痛予防に非常に効果的です。
睡眠の質も見逃せません。睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、翌朝から頭痛を感じる原因になります。理想的な睡眠時間は7時間前後ですが、ただ長く眠るだけではなく、「質の良い睡眠」を取ることが大切です。そのためには、就寝前1時間はスマホやパソコンなどのブルーライトを避け、照明を暗めにして副交感神経を刺激する環境づくりが効果的です。また、就寝直前のストレッチや深呼吸も、身体と心のリセットを助けてくれます。
さらに、「夕食の内容」も頭痛予防には影響を与えます。ビタミンB群(特にB2、B6)は神経の働きを正常に保つために欠かせない栄養素です。これらを多く含む食品には、卵、納豆、鶏むね肉、バナナ、アーモンドなどがあります。また、マグネシウムやカルシウムも筋肉の緊張緩和に役立つため、葉物野菜や豆類、小魚なども積極的に摂ると良いでしょう。
心のリラックスも非常に重要です。仕事の緊張を引きずってしまうと、身体はリラックスしていても脳が休まりません。好きな音楽を聴く、アロマを焚く、日記を書くなど、自分に合った方法で「気持ちを切り替える儀式」をつくることもおすすめです。
このように、仕事終わりの過ごし方一つで、次の日の体調が大きく変わります。「今日は頑張ったからこそ、自分を労わる時間をつくる」という意識を持ち、頭痛のない快適な毎日を目指しましょう。
毎日の小さな工夫が、明日の頭痛を防ぐ鍵になる
デスクワークによる頭痛は、仕事に集中したいときに限って現れ、日常生活に大きな影響を与える厄介な存在です。しかし、その多くは突発的なものではなく、日々の姿勢や習慣、環境が少しずつ積み重なって発症しています。つまり、原因が明確である以上、対策も必ず存在するということです。
今回紹介した10の習慣は、どれも特別な機材や時間を必要とせず、すぐにでも取り入れられるものばかりです。一つひとつは小さな工夫に過ぎませんが、それらが積み重なることで、確実に体調や集中力、そして仕事の質に大きな変化をもたらしてくれます。
大切なのは、「頭痛が起きてから対処する」のではなく、「頭痛が起きない状態を日々作る」という視点に立つことです。そのためには、正しい姿勢を保つこと、こまめに体を動かすこと、疲労を感じたらすぐに休むこと、そして夜にはしっかりとリセットして翌日に備えることが欠かせません。
健康は仕事の土台であり、パフォーマンスの源泉です。今日から少しずつ、自分の体に目を向け、いたわる習慣を育てていきましょう。未来のあなたが、今の小さな決断にきっと感謝する日が来るはずです。