今回で「ぎっくり腰」の記事は3回目になります。
前回と前々回の記事で基本的なことはわかってきましたが、
実際にぎっくり腰になったときには、どうやって過ごすのがいいのでしょうか?
ということで、今回は
について解説していきます。
●ぎっくり腰にかかったときの過ごし方
イギリスの医学誌に掲載された研究で、ぎっくり腰になった患者さんを
・ベッドでの安静
・治療家による施術を受ける
・できる限り日常生活を過ごす
という3グループに分けて経過を追ったものがあります。
その結果「できる限りの日常生活を過ごす」を心がけたグループが最も回復が早く、
「ベッドでの安静」を行ったグループが最も回復が遅かったという意外な結果が出たそうです。
この研究以外でも、動けないほど激しい痛みがある場合をのぞき、
安静にしていることで回復が遅くなることがほとんどなんだとか。
ぎっくり腰も同様で、回復を早めるには普段通りの生活を心がけるのがポイント。
楽になるようなら湿布や痛み止めなどを処方してもらったり、ストレッチをしたりもおすすめです。
何とか動けるようになってきたら、
温めたり冷やしたりは、より楽になる方を選ぶようにしましょう。
痛みが激しいうちは冷やすようにしてください。
あまりに痛みが強い場合や症状の改善が見られない場合などは、
自己判断をせずに、専門の医療機関への受診をおすすめします。
●ぎっくり腰の患部は冷やす?温める?
ぎっくり腰になったとき、冷やしたらいいのか、温めたらいいのか、
多くの方が悩むと思います。
ここでは「冷やす」「温める」について解説していきます。
まず、「冷やす」ことで身体に起こる変化は、
・血液の流れを抑制させる
・神経系の活動を抑制させる
・細胞レベルで活動を抑制させる
など、身体全体の活動を抑制させます。
その結果、流血している場合には止血をしたり、打撲した場合は痛みが緩和できたりします。
腫れている部位では、腫れの進行速度が抑制されます。
一方、「温める」と、冷やしたときとは逆に身体のさまざまな部位が活発になります。
・血流が良くなる
・神経系の活動が活発になる
・細胞レベルでの活動が活発になる
などがあり、例えば運動前や試合などのウォーミングアップは、
筋温を上げ、筋肉を温めるのが大きな目的とされています。
ぎっくり腰になったとき、冷やす方がいいのか?温める方がいいのか?については、
ぎっくり腰に限らず、足首の捻挫であっても、肉離れであっても
急性期:冷やしたり、安静にしたりすることで炎症を抑制し、組織の障害を軽くする
慢性期:温めたり、軽く動かしたりすることで、血流を良くし、痛みを軽くする
というのが基本的な考え方です。
急性期というのは、ぎっくり腰になったばかりの痛みが強いときの時期です。
慢性期とは少し時間が経ち、痛みが落ち着いて日常生活ができるような時期をさします。
慢性期に入っても、温めるよりも冷やしたほうが楽な場合は、楽なほうでケアをするようにしましょう。
●ぎっくり腰のときの入浴
炎症物質は冷やすと収まりますが、温めると広がってしまうという特徴があります。
つまり、身体を温める入浴は、ぎっくり腰の初期段階ではNG。
浴槽につかるのはもちろん、足湯もやめておきましょう。
お風呂に入って血流が良くなると、全身の体温が上がります。
必然的に腰も温まり、炎症物質が広がってしまうのです。
一般的に筋肉の痛みは温めると和らぎますが、それはあくまで慢性的な凝りに限った話です。
ぎっくり腰は凝りではなく急性の炎症なので、必ず冷やすようにしましょう。
さっぱりしたい場合は、シャワーを浴びたり、ボディシートで身体を拭いたりしてリフレッシュを。
シャワーの際は、無理な姿勢をとると急に痛みが強くなることがあるので、
痛みの少ない体勢になるよう気をつけて短時間で済ませることがポイントです。
入浴後に痛みが悪化した場合は、布団など安定した場所へ横になり、
患部を氷嚢やアイスパックなどで冷やすようにしましょう。
10分程度、患部が冷たくなり感覚がなくなっていくことを目安に冷やしてください。
痛みがひどい場合は、10分間の冷却と10分間の放置を何度か繰り返しましょう。
それでも痛みが治まらない場合は、専門の医療機関を受診してください。
●まとめ:ぎっくり腰にかかったときの過ごし方の注意点について
今回はぎっくり腰にかかったときの過ごし方についてまとめました。
ポイントは次の3点です。
・ぎっくり腰になったら長期の安静は逆効果!できる限りの日常生活をすると回復も早まる
・ぎっくり腰は、急性期には患部を冷やし、慢性期には温めるのがポイント!
・ぎっくり腰の場合は入浴はなるべくシャワーのみで済ませ、腰をかがめないように注意!
痛みがあるときに冷やせばいいのか、温めればいいのかは、
ぎっくり腰に限らず迷ってしまいますよね。
これからは「痛みが強いときは冷やして、落ち着いたら温める」を基本にケアをしていきましょう!