体の不調や痛みなどを解消したいとき、整体に行くことを検討される方も多いですよね。
しかし、保険は適用されるのか、どのような施術なら保険が使えるのか、手続きは必要なのかなどわからないことも多く、なかなか一歩が踏み出せない方も少なくありません。
そこで今回は、
について解説していきます。
●整体では健康保険を利用することができるのか?
整体を受けてみようと思ったとき、健康保険を利用できるのかどうかは気になるポイントです。まずは、健康保険が利用できる場合とできない場合の違いを確認しておきましょう。
そもそも健康保険とは、病気やケガをしたときの治療に対して受けられるもの。
保険証を提示すれば、一部負担金を支払うだけで医療行為を受けることができる、とても優れた仕組みです。
ただし、健康保険が利用できるのは、基本的には病気やケガをしたときのみ。
整形手術や健康診断、予防接種などが保険適用外なのも、例外的なものを除いては日常生活に支障をきたすものではないからです。
整体を辞書で調べてみると、「手や足の力を用いて骨格を矯正し、筋肉や内蔵など各部のバランスを整えて、本来の状態に戻すこと」と書かれています。
整体は医療行為に分類されるものではなく、手技を使って行う民間療法や代替医療の一つと考えられているのです。
このことからもわかるように、整体のような民間療法を受けても、基本的には健康保険は利用できません。
健康保険を利用したい場合は、整体院ではなく、病院や整骨院を受診する必要があります。
しかし、整骨院でも保険の適用には条件がありますので、以下を参考にしてみてください。
●整体での保険適用が認められる国家資格について
整体に関する国家資格で、保険適用が認められているものはあるのでしょうか?
整体に関連する国家資格は、「あん摩マッサージ指圧師」「はり師・きゅう師(鍼灸師)」「柔道整復師」の3種類です。
整体をする人のことを整体師と呼ぶことがありますが、整体師という資格は国家資格にはありません。
また、カイロプラクティックという言葉もよく耳にしますが、これはアメリカ発症の民間療法のことを指しているので、国家資格ではありません。
柔道整復師は主に整骨院や接骨院で施術を行っていますが、整体に近い施術を行うことから合わせてご紹介しています。
あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師の行う施術に関しては、一部保険の適用が認められているものもあります。
しかし、慢性的な肩こりや筋肉の疲労を回復させたい場合、リラックス効果を得ることが目的の施術は、保険適用外になりますので注意しましょう。
●保険適用される整体の施術について
保険が適用される整体の施術には、どのようなものがあるのでしょうか?
すでに解説したとおり、保険適用となるのは、医療機関で行う病気やケガによる治療。
整体などの民間療法による施術は、保険適用外となるのが基本です。
しかし、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師という国家資格を持っている人が行う施術で、なおかつ病気やケガの治療を目的としたものであれば、保険が適用されるケースがあります。
では、それぞれの資格ごとに、どのような施術が保険適用となるのかみていきましょう。
【あん摩マッサージ指圧師】
手術後や骨折後などに起こる脳血管障害や後遺症による「筋麻痺」や、関節が動かしにくくなる「関節拘縮」に対して行う施術。
【鍼灸師】
坐骨神経痛などの「慢性的疼痛」、医療機関で診断された「リウマチ」、首や肩関節、上腕の靭帯や筋肉の痛みやしびれなどが起こる「頚腕症候群」、40代~50代に多い肩関節の痛み「五十肩」、慢性的な腰痛やギックリ腰などの「腰痛症」、「頚椎捻挫後遺症(むちうち症)」に対して療を行う施術。
【柔道整復師】
「骨折」「脱臼」「打撲」「捻挫」「挫傷」など、外傷性の負傷に対して行う施術。
打撲や捻挫、挫傷の場合は、医師の同意がなくても保険適用となりますが、骨折や脱臼の場合は、緊急時以外は医師の同意書が必要です。
柔道整復師が行う一部の施術以外は、医師の同意書や診断書がある場合のみ保険適用となります。
参考:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO93065340R21C15A0000000/
●整体などで保険適用させるための手続きについて
整体で施術を受けた際、保険適用させるためには手続きが必要です。
整体での施術は、基本的には保険適用外。
保険適用させるためには、下記の手順にそって手続きします。
・施術を受けたい整体院で同意書をもらう
・同意書を病院に持っていき、医師に必要事項を記入してもらう
・医師に記入してもらった同意書と保険証、印鑑を持参して整体院に行く
・整体院で手続きをした後、施術を受ける
なお、医師の同意書は、3ヶ月ごとに再度同意書をもらう必要があります。
また、保険の適用を受ける場合は「療養費」扱いとなるため、費用は全額支払い、あとから療養費の請求をして受け取る形となります。
しかし、健康保険組合によっては、本人の支払いは一部負担金のみ、施術者が保険組合に残りの費用を請求する場合もあります。これを「受領委任払い制度」といいます。
詳しくは整体院や整骨院で確認しましょう。
●保険を利用したい時どのような整体院を選ぶべき?
保険を利用したい時には、どのような整体院を選ぶべきなのでしょうか?
整体院の施術で保険が利用できるのは、国家資格を持っている者による一部の施術に限られています。
さらには、その一部の施術も、医師の診断書や同意書が必要なケガや病気の場合のみです。
疲労回復やリラックスすることを目的とした施術は、保険適用外なので注意しましょう。
整体院で保険を利用した施術を受けたい場合は、一度相談してみると良いですね。
●まとめ:整体で保険適用させることはできるの?健康保険が利用できる範囲について
一般的に整体と呼ばれる施術は、健康保険は適用されません。
保険が適用されるのは、国家資格を持ったあん摩マッサージ指圧師や鍼灸師、柔道整復師が行う、一部の施術のみです。
そして、施術を受ける場合には医師の同意書や手続きも必要になり、保険が利用できる範囲は限られています。
しかし、日頃の不調や痛みの解消、リラックス効果を求めて整体に通う方は多いですよね。
保険が利用できないケースでも、不調や痛みが気になる場合は、一度整体院に相談してみると良いでしょう。