交通事故後にやってはいけない行動と正しい治療の流れを徹底解説

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交通事故後にやってはいけない行動と正しい治療の流れを徹底解説
立松 栄二

ブログ著者:立松 栄二

来院総数のべ12万人超え、世界レベルのトレーナーも推薦する整体サロン院長
国家資格保持(鍼灸師)


交通事故は、ある日突然、予期せぬ形で起こるものです。被害の大きさに関わらず、事故の直後は気が動転し、冷静な判断をするのが難しくなるのが現実です。特に、軽い打撲や首の違和感など、目に見える大きな外傷がない場合、「大丈夫だろう」と判断してしまい、病院に行かずに済ませてしまう方も少なくありません。しかし、その「大丈夫」が後に大きな後悔を生む原因になることがあります。

そのため、事故直後からの正しい対応と、適切な医療機関での治療を受けることが非常に重要になります。

本記事では、交通事故後に絶対に避けたい行動や誤った判断、そして適切な治療の流れについて、10のステップに分けて詳しく解説していきます。事故直後にやるべきこと、見逃してはいけない症状、病院と整骨院の違いや保険の仕組みなど、被害者にとって必要な情報を網羅的にまとめています。

「事故直後、何から始めればいいの?」「病院には何科を受診すればいいの?」「整骨院って通って大丈夫なの?」など、疑問や不安を抱えている方にとって、この記事が一歩を踏み出す手助けになることを願っています。大切なのは“早期対応”と“正しい判断”。後悔しないために、そして後遺症を残さずに回復するために、正しい知識を身につけましょう。

目次

  1. 交通事故直後の正しい対応手順
  2.  軽い痛みでも治療が必要な理由
  3.  むち打ちの症状とその見逃しリスク
  4.  病院と整骨院の使い分け方
  5.  交通事故治療にかかる費用と保険対応
  6.  早期に整体でケアするメリット
  7.  施術内容と回復までの流れを解説
  8.  後遺症を残さないための注意点
  9.  交通事故治療の通院頻度の目安
  10.  治療と仕事の両立をスムーズに進めるコツ

1. 交通事故直後の正しい対応手順

交通事故に遭遇した際、多くの人がパニック状態に陥りやすく、冷静な判断を欠いてしまいます。しかし、事故直後の行動がその後の治療や損害賠償、そして自身の健康状態に大きく関わってくるため、正しい手順を知っておくことは非常に重要です。ここでは、事故発生からの対応手順について具体的に解説します。

まず、事故が発生したら最初に確認すべきは、自身および同乗者、相手方の安全です。けが人がいる場合は、直ちに救急車を呼び、必要に応じて応急処置を行います。その後、事故現場から安全な場所へ移動し、二次災害を防ぐよう努めましょう。続いて、すぐに警察へ通報することが義務付けられています。これは道路交通法第72条により明確に定められており、たとえ軽微な事故であっても、必ず警察を呼ぶ必要があります。

通報後は、警察官の到着を待ちながら、事故現場の状況を記録します。スマートフォンなどで車両の損傷状況、道路状況、信号の位置などを写真に収めておくことが、後々の過失割合や保険対応時に非常に有効となります。また、相手方の氏名・連絡先・ナンバープレート番号・保険会社名なども正確に控えておきましょう。

次に重要なのが、必ず医療機関を受診することです。事故直後はアドレナリンの分泌によって痛みを感じにくくなっており、「とくに異常はない」と思っても、数時間後や翌日に症状が現れることは珍しくありません。つまり、自己判断で「大丈夫」と決めつけるのは非常に危険です。

医療機関では、できるだけ事故当日に受診することが望ましいとされています。これにより、診断書が発行されることで事故との因果関係が明確になり、後の保険請求や法的対応においても有利になります。特に、むち打ちや打撲などの症状は画像検査ではわかりにくいため、医師の詳細な問診と経過観察が不可欠です。

2. 軽い痛みでも治療が必要な理由

交通事故の直後に軽い痛みしか感じない場合、「この程度なら通院しなくても大丈夫」と判断してしまう人は少なくありません。しかし、このような油断が後々深刻な後遺症や慢性的な痛みにつながるリスクがあることは、あまり知られていません。ここでは、軽微な症状であっても早期に治療が必要な理由について掘り下げて解説します。

事故後の軽い痛みの多くは、筋肉や靭帯の損傷、神経の圧迫などによって引き起こされます。これらはレントゲンやCTでは発見しにくいため、検査で「異常なし」と判断されることもありますが、それが「無傷」であることを意味するわけではありません。むしろ、深部の軟部組織の損傷は、時間の経過とともに炎症が進行し、症状が強くなる傾向にあるのです。

また、痛みが軽いと通院を怠ってしまいがちですが、医療機関での定期的な経過観察は、症状の悪化を未然に防ぐうえで極めて効果的です。早期治療を行うことで、回復期間が短縮され、重症化を防ぐことができます。これは医療費の削減にもつながり、保険会社との交渉においても「自己管理がなされていた」という証拠になります。

さらに、通院の有無は慰謝料や後遺障害等級の認定にも影響します。交通事故の損害賠償では、治療期間や通院回数が明確に記録されていることで、精神的・肉体的苦痛に対する賠償額が左右されます。実際、定期的な通院を続けたケースと、治療を途中でやめてしまったケースでは、慰謝料に最大で2倍以上の差が生じることもあるのです。

3. むち打ちの症状とその見逃しリスク

交通事故によるけがの中でも、特に多く見られるのが「むち打ち(頸椎捻挫)」です。一見すると大きな外傷がないため軽視されがちですが、その症状は非常に多岐にわたり、見逃されることによって長期間にわたって苦しむケースも少なくありません。ここでは、むち打ちがもたらす症状の特徴と、見逃した場合のリスクについて詳しく解説します。

むち打ちは、交通事故の衝撃で首が前後に大きく振られた際に、頸椎周辺の筋肉や靭帯、神経に損傷が起こる状態です。事故直後はほとんど痛みを感じないことが多く、数時間〜数日経ってから、首のこわばり、頭痛、めまい、吐き気、腕のしびれなどの症状が現れます。これは神経が圧迫されることで、脳から体への信号伝達が乱れるために起こるものです。

このような遅れて出る症状があるため、事故後すぐに医療機関を受診しても異常が発見されないケースが多いのがむち打ちの厄介な点です。しかし、見た目に問題がないからといって放置してしまうと、神経の炎症が慢性化し、頸椎ヘルニアや自律神経失調症に発展するリスクもあります。

また、むち打ちは自律神経に影響を与えるため、倦怠感や不眠、集中力の低下などの不定愁訴を引き起こすことがあります。これにより、仕事や日常生活に支障が出るだけでなく、精神的なストレスも加わり、うつ症状に進行するケースも報告されています。特に交通事故がトラウマとなり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に発展する事例も見られるため、注意が必要です。

医療機関では、むち打ちの診断においてMRIや超音波検査を用いることがありますが、それでも異常所見が出ないことも多くあります。そのため、問診や理学検査をもとに総合的に判断されるのが一般的です。症状の訴え方によっては、診断が曖昧になり、治療が受けにくくなることもあるため、自分の症状を正確に伝えることが求められます。

4. 病院と整骨院の使い分け方

交通事故後に治療を受ける際、多くの人が悩むのが「病院に行くべきか、整骨院に通うべきか」という選択です。どちらも医療的なサポートを受けられる場所ですが、役割やできることには明確な違いがあります。それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けることが、効果的な治療と早期回復のカギになります。

まず、病院は医師が在籍する医療機関であり、診断と治療を行う法的な権限を持っています。交通事故に遭った際、最初に受診すべき場所としては病院が適しています。レントゲンやCT、MRIなどの画像診断を通じて、骨折や内臓損傷といった重大な外傷の有無を確認することができ、必要に応じて診断書も発行されます。診断書は保険会社との交渉や後遺障害の認定において重要な資料となるため、病院の受診は非常に大切です。

一方で、整骨院は国家資格である柔道整復師が施術を行う施設で、主に筋肉や関節の痛み、可動域の制限などに対して手技療法を用いてアプローチします。むち打ちや腰痛など、神経や筋肉に関係する症状に対して、手技による柔軟なケアが受けられる点が特徴です。整骨院では西洋医学的な検査機器は用いられませんが、体のバランス調整や血行促進を目的とした施術により、慢性的な痛みの緩和や機能回復が期待できます。

病院と整骨院は併用することも可能で、実際には多くの被害者が両方を使い分けています。初期診断は病院で行い、異常がないと判断された後に、整骨院でリハビリや症状の緩和を図るという流れが一般的です。また、整骨院での施術は自賠責保険の適用範囲内で受けられる場合が多く、金銭的な負担も抑えることができます。

注意したいのは、整骨院のみで治療を続けた場合、医師の診断がないため、保険会社が治療の必要性を認めないケースがあるという点です。そのため、整骨院に通う場合でも、定期的に病院で経過を診てもらい、診断書や通院記録を更新しておくことが重要です。

5. 交通事故治療にかかる費用と保険対応

交通事故に遭った際、「治療費がどのくらいかかるのか」「自己負担はあるのか」という点は、多くの人にとって大きな不安要素です。しかし、交通事故に関する治療には自賠責保険や任意保険などの仕組みがあり、適切に手続きを行えば多くのケースで自己負担を避けることができます。ここでは、費用の内訳と保険の対応について詳しく解説します。

まず、交通事故の被害者となった場合、加害者側が加入している自賠責保険(強制保険)によって、一定額までの治療費がカバーされます。自賠責保険では、被害者一人あたりの支払い限度額は原則として120万円となっており、この中には治療費だけでなく、通院交通費、慰謝料、休業損害などが含まれます。慰謝料に加えて通院のために利用した電車やバスの交通費、タクシー代、自家用車のガソリン代・駐車場代なども請求が可能です。

また、加害者が任意保険に加入している場合は、そちらから自賠責でカバーしきれない費用(たとえば後遺障害による逸失利益や入通院期間の長期化に伴う損害など)を補償してもらうこともできます。任意保険の中には「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害保険」などもあり、事故の状況に応じて併用が可能です。

一方で、自身が加害者である場合や、相手が無保険だった場合には、自身が加入する任意保険の人身傷害補償を利用することになります。これにより、自損事故であっても一定の治療費や慰謝料が支払われることがあります。

保険対応で重要なのは、「診断書」と「通院実績」です。診断書は、医師による客観的な証明として保険会社とのやり取りの際に不可欠です。また、定期的に通院していない場合は、「治療の必要性がなかった」と判断され、補償対象外となる可能性もあるため、症状がある限りは継続的に医療機関を受診することが大切です。

また、損害保険料率算出機構の資料によれば、想像以上に高額な補償が必要になることを示しています。その一方で、請求手続きを正確に行わなかったために、本来受け取れるはずの補償を逃してしまうケースも少なくありません。

治療費が高額になることを恐れて、病院や整骨院への通院をためらう人もいますが、保険の仕組みを正しく理解し、手続きをきちんと行えば、基本的に自己負担なく通院できるケースがほとんどです。事故直後は精神的にも不安が大きいですが、冷静に必要な書類を揃え、専門機関のアドバイスを受けながら進めていくことで、安心して治療に専念できます。

6. 早期に整体でケアするメリット

交通事故によるけがの多くは、時間の経過とともに痛みが現れる「遅発性症状」が特徴です。そこで注目されるのが、早期に整体でケアを開始することのメリットです。

整体では、身体全体のバランスを整えることを目的として、手技による筋肉調整、骨格矯正、血流促進を行います。交通事故後は体に強い衝撃が加わるため、表面上の外傷がなくても筋肉や関節が緊張状態にあり、全体のバランスが崩れやすくなっています。この状態を放置すると、無意識のうちにかばい動作が生じ、ほかの部位に痛みや不調が波及することもあります。

早期の整体ケアは、このような全身のアンバランスを素早く修正し、二次的な障害の発生を予防するうえで非常に有効です。これは、事故によって過緊張した筋肉を早期に緩め、神経圧迫や血流障害を防ぐことができたためと考えられます。

また、整体によって自律神経のバランスが整うことも注目されています。事故の衝撃によって交感神経が過剰に働き、倦怠感や頭痛、消化不良、不眠といった症状が出ることがありますが、整体によって副交感神経を優位に導くことで、これらの症状が改善されやすくなるのです。

整体は医療機関と異なり、投薬や手術といった介入を行わないため、体に優しく副作用の心配もほとんどありません。痛みのある部分だけでなく、全身のつながりを重視して施術を行うため、根本的な原因へのアプローチが可能となります。

さらに、施術を通じて自分の体の状態を知ることができる点も大きな利点です。自覚のない部位の緊張やゆがみを教えてもらえることで、今後のセルフケアや生活習慣の改善にも役立ちます。

整体を早期に取り入れることで、痛みを未然に防ぎ、回復をスムーズにすることができます。ただし、医師の診断を受けたうえで、整体を治療の一環として正しく位置づけることが大切です。整体だけに頼るのではなく、医療との併用でより高い効果を目指すことが、事故後の正しい回復プロセスといえるでしょう。

7. 施術内容と回復までの流れを解説

交通事故に遭った際、医療機関での診断と整骨院や整体での施術を受けることが多くなりますが、具体的にどのような施術が行われ、どのような流れで回復を目指していくのかを把握している人は意外と少ないのが現状です。ここでは、交通事故によるけがの施術内容と、回復までの一般的なステップについて詳しく解説していきます。

まず、施術の第一段階では「痛みの軽減」と「炎症の抑制」が優先されます。事故によって生じた筋肉や関節の炎症を和らげるため、アイシングや安静指導、必要に応じて湿布や消炎鎮痛薬が用いられます。初期の段階では無理な動きは避け、症状の悪化を防ぐことが重視されます。

その後、炎症が落ち着いた段階で、施術内容は「可動域の回復」や「筋肉の緊張緩和」へと移行します。手技療法によるマッサージや関節の調整、ストレッチなどが取り入れられ、硬直した筋肉やゆがんだ骨格のバランスを整えることが目的となります。特に頸椎や腰椎に負担がかかっている場合は、過度な矯正を避けながら慎重に施術を行います。

さらに症状が安定してきたら、「日常動作への復帰」に向けたリハビリがスタートします。この段階では、筋力トレーニングや体幹強化のエクササイズが取り入れられることが多く、自宅で行えるセルフケアの指導も並行して行われます。適切な運動習慣を身につけることで、再発の予防にもつながります。

施術の内容は個々の症状や年齢、生活環境によって異なりますが、一般的には、受傷から1〜3か月ほどをかけて回復を目指すケースが多く見られます。ただし、重度のむち打ちや神経圧迫がある場合は、6か月以上にわたって通院を続けることもあり、長期的なプランニングが必要となります。継続的な通院と段階的な施術が、回復への道のりにおいて重要であることが読み取れます。

また、通院期間中は定期的に経過観察を行い、医師や施術者によって症状の変化を記録しながら対応方針を柔軟に見直していくことが大切です。痛みの強さや体調の波をしっかりと記録しておくことは、医療判断にも大きく影響しますし、後遺症認定に関わる場合の資料としても有効です。

8. 後遺症を残さないための注意点

交通事故の治療において最も避けたいのが、後遺症の残存です。後遺症とは、一定期間の治療を経てもなお完治せず、日常生活や労働に支障をきたす身体的・精神的な症状を指します。むち打ちや神経損傷、関節の可動域制限、慢性的な疼痛などが代表的な例であり、これらを予防するには治療初期からの適切な対応が不可欠です。

まず、後遺症を防ぐためには「症状の軽視」をしないことが第一です。事故後に痛みや違和感を感じたら、たとえそれが微細なものであっても、できるだけ早く医療機関を受診し、診断と記録を残すことが大切です。特に神経症状は、初期段階での対応を誤ると、慢性化しやすい傾向があります。たとえば、頸椎症性神経根症は、早期に治療を開始すれば完治が望める一方で、放置すると慢性的なしびれや筋力低下が残るケースも報告されています。

また、通院を中断せず、継続的に治療を受けることも後遺症の予防に直結します。通院期間が空いてしまうと、症状の悪化や炎症の再発リスクが高まり、結果的に治療期間が延びるだけでなく、完治が難しくなることがあります。継続的な診察によって体の変化を客観的に把握し、必要に応じて治療方針を修正していくことが大切です。

さらに、リハビリの段階に入った後も注意が必要です。早期の回復を急ぐあまり、無理な運動を行ってしまうと、逆に患部に負担をかけてしまい、組織の修復が遅れる可能性があります。リハビリは「適度な刺激」と「回復のタイミング」を見極めることが求められ、専門家の指導のもとで慎重に進めることが望まれます。

生活習慣の改善もまた、後遺症を残さないための重要な要素です。長時間の同一姿勢や不良姿勢、睡眠不足、ストレスなどは、筋肉や神経の回復を妨げる要因となります。バランスの取れた食事、質の良い睡眠、適度な運動を意識することで、治療の効果が最大限に引き出され、再発のリスクも軽減されます。症状によっては長期的に就業や生活に影響を及ぼすケースもあります。特に自律神経症状や心理的ストレスが絡む症例では、社会復帰が難しくなる事例も見られています。

9. 交通事故治療の通院頻度の目安

交通事故によるケガの治療には一定の通院が必要となりますが、通院頻度は症状の重さや部位、個人の体質によって異なるものの、ある程度の目安を知っておくことで、スムーズな回復と保険手続きの両立が可能になります。

一般的に、交通事故後の初期段階では、週に2〜3回の通院が推奨されます。この時期は炎症や痛みが強く、早期に症状を抑えることが重要であるため、継続的な施術や医師の経過観察が必要です。特にむち打ちや腰部捻挫の場合、痛みの波が大きく、間隔を空けずにケアを行うことで症状の慢性化を防ぎます。

回復が進む中期以降は、週1〜2回の通院に減らしていくのが一般的です。この段階では、可動域の回復や筋力維持を目的としたリハビリが中心となり、自宅でのセルフケアとの併用が勧められます。無理に通院頻度を落とすのではなく、症状や医師・施術者の判断に従って段階的に頻度を調整していくことが重要です。

通院頻度は単なる治療のためだけでなく、保険対応や慰謝料の算定にも関係してきます。通院日数や回数は、自賠責保険や任意保険における慰謝料の計算基準となるため、継続して通っていることを示すことが経済的な補償にも直結します。

また、整骨院に通院する場合でも、通院実績は記録され、医師の定期診察と併用していれば、保険会社から治療の正当性が認められやすくなります。ただし、通院の間隔が大きく空くと、治療の必要性を否定されることがあるため、一定の頻度を保つことが重要です。

さらに、通院頻度の目安は体調の波や生活環境によっても変動します。仕事や家庭の事情で思うように通院できない場合でも、医師や施術者と相談して、生活に合わせた治療計画を立てることが大切です。現在ではオンライン診療や訪問施術など、柔軟な対応が可能なケースも増えており、通院困難な人にも適切なケアが提供されるようになっています。

交通事故後の通院は、いかに適切なタイミングで継続的なケアを行えるかが鍵となります。無理のない範囲で計画的に通院を行い、治療と生活のバランスを保ちながら、早期の社会復帰を目指しましょう。

10. 治療と仕事の両立をスムーズに進めるコツ

交通事故によるけがを負った場合、身体の回復を最優先にしつつ、仕事との両立をどう進めていくかが大きな課題となります。特に社会人にとっては、長期にわたる休職が収入面や職場での立場に影響することへの不安がつきまといます。しかし、適切な対策と計画を講じることで、治療と仕事を両立させながらスムーズな社会復帰を目指すことは十分に可能です。

まず重要なのは、職場への適切な報告と相談です。事故直後には、上司や人事部門に事故の発生と診断内容を正確に伝え、治療計画と通院予定を共有することが求められます。可能であれば診断書を提出し、通院の必要性や治療期間を明確に伝えておくことで、職場側も業務の調整がしやすくなります。労働契約法第5条では、使用者には従業員の安全配慮義務があると定められており、勤務条件や業務内容を柔軟に調整する義務があることも頭に入れておきましょう。

次に考えるべきは、勤務スタイルの見直しです。柔軟な働き方が可能な職場であれば、テレワークや時短勤務、フレックスタイム制度などを活用し、体調に応じた労働時間の調整が可能になります。実際に、通勤による身体的ストレスを軽減しながら働き続ける手段として有効であることが示されています。

また、治療のスケジュール管理も欠かせません。病院や整骨院は予約制であることが多く、勤務時間と重ならないように通院のタイミングを調整することが大切です。通院は平日の夜間や土日にも対応している施設が増えており、業務に支障をきたさずに治療を継続することが可能です。スケジュール帳やアプリを使って治療予定を可視化し、仕事とのバランスを取りながら無理なく治療を続ける工夫が求められます。

さらに、職場内での業務内容の再調整も視野に入れておくとよいでしょう。事故後は体力や集中力が落ちることも多く、重い荷物の持ち運びや長時間のPC作業など、身体に負担のかかる作業を一時的に制限してもらうことが重要です。医師の指示書や意見書を提出することで、業務配慮の根拠を示すことができ、職場側も適切に対応しやすくなります。

通院によって遅刻や早退が増える場合でも、労働者には治療を受ける権利があるという点を忘れてはなりません。労働基準法第26条では、使用者が業務上災害に該当しない通勤災害などで休業した場合にも、一定条件下での休業補償の義務が規定されています。交通事故のケースでは、健康保険や傷病手当金の対象となることもあり、医療費以外の経済的支援制度を積極的に活用することが推奨されます。

また、精神的なケアも欠かせません。事故による心的ストレスが長期間続く場合は、産業医やカウンセラーへの相談を検討するのも有効です。心理的な不調は身体の回復にも影響を及ぼすため、治療の一環として捉え、職場のサポート体制を活用しながら心身のケアに努めましょう。

知識が不安を消す―事故後を前向きに生きるために

交通事故に遭ったとき、多くの人が最初に感じるのは「どうしたらいいのか分からない」という不安です。実際、事故の直後は気が動転し、痛みも感じにくいため、冷静な判断をするのが難しくなります。しかし、事故直後の対応から始まり、治療、通院、保険手続き、そして社会復帰に至るまでには、正しい知識と判断が欠かせません。

本記事では、交通事故後にやってはいけない行動や、治療の流れについて10のステップに分けて具体的に解説してきました。病院と整骨院の役割の違い、むち打ちなどの見逃しやすい症状、費用や保険の仕組み、そして仕事との両立方法まで、事故後のあらゆる不安に対して実践的なヒントを提供しました。

事故は誰にでも起こり得るものであり、被害の大きさにかかわらず、心と体に大きな負担をもたらします。だからこそ、万が一のときに慌てず行動できるよう、正しい情報を備えておくことが重要です。そして何より、自分の体の声に耳を傾け、自己判断を避け、プロの手によるケアを受けることが、後悔しない選択につながります。

交通事故後の道のりは決して平坦ではありませんが、正しい知識と冷静な対応があれば、安心して前に進むことができます。この記事が、事故に遭われた方やそのご家族の一助となり、少しでも安心して治療と生活に向き合えるきっかけとなれば幸いです。健康な体と心を取り戻すための第一歩を、今日から踏み出しましょう。

 

 

この記事を書いた人

立松 栄二

「整体サロンEX」院長 | 鍼灸師(国家資格)

立松 栄二

開院以来のべ12万人以上が来院する愛知県刈谷市の「整体サロンEX」院長。

元サッカーJ1トレーナーや元世界選手権帯同トレーナーなどの著名人も推薦する独自の技術で、身体の痛みやコリなどの不調を根本的な改善に導くため日々施術を行っている。

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施術家になった経緯や、どのような想いでこのブログを書いているかを語らせていただいています。