肩こりが全身に与える影響とは?症状別に原因と対策を徹底解説

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肩こりが全身に与える影響とは?症状別に原因と対策を徹底解説
立松 栄二

ブログ著者:立松 栄二

来院総数のべ12万人超え、世界レベルのトレーナーも推薦する整体サロン院長
国家資格保持(鍼灸師)

 

デスクワークやスマートフォンの使用が日常に定着した現代、多くの人が抱える「肩こり」。単なる肩の不快感として片付けられがちですが、実は肩こりが引き金となって、頭痛やめまい、倦怠感、不眠、内臓機能の低下に至るまで、全身に広範な影響を及ぼす可能性があることをご存知でしょうか?

「肩が重い」「首が回らない」といった症状は、一見局所的な不調に思えますが、そこには血流・神経・筋肉の連動したシステムが密接に関わっています。たとえば、肩こりによる筋肉の緊張は首や背中、さらに頭部の神経にまで影響を及ぼし、頭痛やめまいといった症状を引き起こします。また、緊張状態が続くことで自律神経が乱れ、睡眠の質が低下したり、慢性的な疲労を感じやすくなったりすることもあります。

さらに最近では、肩こりと内臓疲労や目の疲れ、顎関節症との関連性も注目されています。肩周辺の筋肉は呼吸や姿勢の維持にも関与しており、慢性的なこりは姿勢を悪化させる要因ともなり、背骨や骨盤のゆがみを誘発し、全身のバランスを崩してしまうのです。

本記事では、肩こりがいかに全身に影響を及ぼすのかを、症状別にわかりやすく解説していきます。そして、整体などのケアによって全身のバランスをどのように整えていくべきか、具体的な対策や改善方法にも触れていきます。

肩こりは単なる筋肉の問題ではなく、体と心の健康を左右する「全身のサイン」。この記事を通じて、肩こりの新たな見方と、根本から改善するための一歩を踏み出していただければ幸いです。

目次
1. 肩の不調が頭痛やめまいを招く理由
2. 背中や首への影響を解説
3. 集中力低下や疲労感の原因にも?
4. 自律神経の乱れと肩こりの関係性
5. 整体で調整される全身のバランス
6. 内臓疲労や睡眠不足とのつながり
7. 肩こりによる姿勢の変化と対策
8. 目の疲れや顎関節との関係について
9. トータルで整えるケアの重要性
10. 肩こりから全身の健康を考える

1. 肩の不調が頭痛やめまいを招く理由

肩こりは単なる不快感にとどまらず、頭痛やめまいといった深刻な症状を引き起こすことがあります。特に長時間のパソコン作業やスマートフォンの操作が続く現代人にとって、肩の筋肉が常に緊張している状態はもはや日常的なものと言えるでしょう。では、なぜ肩のこりが頭痛やめまいにつながるのでしょうか。そのメカニズムにはいくつかの重要な要素が絡んでいます。

まず、肩こりによる血行不良が第一の原因として挙げられます。肩周辺の筋肉が緊張し続けると、血管が圧迫されて脳への血流が悪化します。これにより酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、いわゆる「緊張型頭痛」が引き起こされます。実際に、厚生労働省の報告でも、頭痛を訴える人のうち約70%が肩や首のこりを伴っているというデータがあります。

日常生活においても、冷えやストレス、姿勢の乱れが肩こりを助長し、それが頭部の症状として現れるケースが多く見られます。特に女性は男性に比べて筋肉量が少なく、血行不良やホルモンバランスの乱れが肩こりや頭痛を引き起こしやすい体質と言われています。

対策としては、定期的なストレッチや温熱療法、適度な運動、そして姿勢の見直しが有効です。また、整体やマッサージによって筋肉をほぐすことで血流を改善し、神経圧迫を軽減することが症状の緩和につながります。とくに、首から肩甲骨にかけての深部筋へのアプローチが効果的とされており、自宅でのセルフケアと専門的な施術を組み合わせることで、根本的な改善を目指すことが可能です。

肩の不調が頭痛やめまいを招くという事実を理解することで、単なる肩こりとして放置せず、全身の健康に関わる重大なサインとして捉えることができます。日々の体調不良の原因が「肩」にあると気づけることが、改善への第一歩なのです。

2. 背中や首への影響を解説

肩こりは肩の筋肉だけで起こるものではありません。実際には、背中や首と密接につながった筋肉群全体が関係しており、肩周辺に起きた不調が連鎖的に背中や首にも影響を及ぼします。この「連鎖反応」が、さらに広い範囲の不調を引き起こす引き金となっているのです。

まず、肩の筋肉と最も関係が深いのが「僧帽筋」です。僧帽筋は首から肩、そして背中の上部にかけて広がっている大きな筋肉で、長時間同じ姿勢を保ったり、パソコン作業などで肩をすくめた状態が続いたりすると、この筋肉が硬直します。僧帽筋が緊張すると、肩甲骨の動きが制限され、猫背のような前傾姿勢になりやすくなります。

猫背が定着すると、胸の筋肉(大胸筋)や腹筋が縮こまり、逆に背中の筋肉(脊柱起立筋など)は常に引っ張られる状態になります。これにより、肩こりだけでなく、背中の張りや腰痛までもが発生する原因となるのです。

このように、肩こりは単独の症状ではなく、首・背中・肩甲骨周辺の筋肉や骨格に連動した不調の一部として捉えるべきです。日常の姿勢、作業環境の改善、筋肉をほぐすストレッチや整体施術などを組み合わせることで、肩だけでなく、首や背中の不調も根本から改善していくことが可能になります。

3. 集中力低下や疲労感の原因にも?

肩こりは単なる筋肉のこりや痛みにとどまらず、精神的な集中力の低下や、慢性的な疲労感の原因としても無視できない存在です。近年では、オフィスワークやリモートワークの普及により、1日の大半を座ったまま過ごす人が増え、それに伴って肩こりと脳機能の関係が注目されるようになってきました。

まず、肩こりによって引き起こされる血行不良が、脳の働きに大きな影響を与えるという点は見逃せません。肩や首の筋肉が緊張すると、脳へ酸素や栄養を運ぶ血液の流れが滞ります。脳が酸素不足に陥ると、思考が鈍くなり、集中力が落ちるだけでなく、ぼんやりしたり、作業効率が低下したりといった状態を引き起こします。これは医学的にも「脳疲労」と呼ばれ、慢性化するとうつや不安感といった精神面への悪影響も出てくる可能性があります。

このように、肩こりと集中力・疲労感は密接に関係しています。「肩がこっているだけ」と軽視せず、その影響が日常生活全体に及んでいる可能性に目を向けることが、健康とパフォーマンスを維持するうえで非常に大切です。肩こり対策を徹底することは、身体のためだけでなく、メンタルと生産性を守るための一歩でもあるのです。

4. 自律神経の乱れと肩こりの関係性

肩こりと自律神経の乱れは、相互に深く関係し合っています。多くの人が「最近なんとなく調子が悪い」「寝ても疲れが取れない」と感じたとき、その裏には自律神経のバランスの崩れが潜んでいることがあります。そして、その自律神経の乱れが肩こりと密接につながっていることは、あまり知られていません。

自律神経とは、交感神経と副交感神経の2つから成り立ち、内臓や血管、呼吸、体温調節などを無意識にコントロールしています。日中は交感神経が優位に働いて活動的に、夜は副交感神経が優位になってリラックスし、睡眠や回復へと導くというのが本来のリズムです。しかし、現代人はこのバランスが乱れやすく、慢性的なストレスや過労、不規則な生活、そして肩こりによる筋肉の緊張がその要因となっています。

肩まわりには多くの神経が集中しており、とりわけ交感神経幹は首から背骨沿いを走行しています。肩や首の筋肉が硬直すると、その周辺の血流が悪化し、神経への圧迫が発生するため、交感神経が過剰に刺激されてしまうのです。この状態が長く続くと、リラックスすべきタイミングでも交感神経が優位になり、眠れない・焦燥感がある・胃腸の調子が悪い・動悸がするなどの症状が現れます。

対策としては、肩こりの改善と同時に、自律神経を整える習慣を取り入れることが有効です。例えば、一定の時間に寝起きする、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、寝る前にスマートフォンを見ないなどの生活習慣の見直しが挙げられます。また、肩甲骨や首回りのストレッチ、呼吸を意識したエクササイズ、整体やマッサージによる血流改善なども非常に効果的です。

自律神経は目に見えない存在ですが、私たちの体と心を支える極めて重要な神経です。肩こりが慢性化している人は、自律神経の乱れが関与している可能性を考慮し、単なる「筋肉のこり」として軽視せず、包括的な視点でケアに取り組むことが大切です。

5. 整体で調整される全身のバランス

整体とは、筋肉・骨格・関節・神経などの構造的なバランスを整え、身体全体の機能を本来の状態に戻すための施術法です。肩こりという症状は一見局所的なものに思えますが、実は身体全体のアンバランスによって引き起こされるケースが多く、整体による全身調整が根本的な改善に大きく貢献します。

肩こりの背景には、姿勢の崩れや体の歪み、筋肉の偏った使い方があります。たとえば、猫背の人は肩が前に出て首が前傾し、僧帽筋や肩甲骨周辺の筋肉に大きな負担がかかります。このような状態が続くと筋肉は固まり、血行が悪くなり、肩こりとして現れるのです。整体では、このような姿勢や筋肉のアンバランスを見極め、根本原因にアプローチします。

具体的には、骨盤や背骨の歪みを矯正することで、体の軸をまっすぐに整えます。骨盤の傾きが改善されると、それに連動して背骨・肩甲骨・首の位置も本来の位置に戻り、筋肉への負担が減少します。特に、肩甲骨は「可動域の広い関節」であると同時に、姿勢や肩の動きに大きな影響を与えるため、この部分の動きが良くなることで肩こりの解消につながります。

このように、整体は単なるマッサージとは異なり、体の構造と機能に着目して、根本からバランスを整える方法です。肩こりがなかなか改善しない、何度も再発するという人は、一度体全体のバランスを見直すことが有効です。全身を調整することで血流や神経伝達がスムーズになり、筋肉の回復力が高まるだけでなく、体が本来持っている自然治癒力も引き出すことができます。

慢性的な肩こりに悩む方こそ、局所的な対処ではなく、全身の構造と動きを意識したケアが必要です。整体によって本来の体の動きや姿勢を取り戻すことができれば、肩こりの解消だけでなく、疲れにくく動きやすい身体づくりへとつながっていくのです。

6. 内臓疲労や睡眠不足とのつながり

肩こりは筋肉の問題と思われがちですが、実は「内臓疲労」や「睡眠不足」との関連性が深く、これらが肩の不調を引き起こす引き金となることも少なくありません。とくに慢性的な肩こりがなかなか改善しない人ほど、筋肉以外の視点から原因を探ることが重要です。

まず内臓と筋肉は、筋膜や神経ネットワークによって密接につながっています。たとえば、肝臓や胃腸の機能が低下すると、身体は内臓を守ろうとして周囲の筋肉を硬直させます。これにより、背中や肩まわりの筋肉が常に緊張状態となり、肩こりとして現れるのです。とくに右側の肩や肩甲骨の奥に痛みを感じる場合、肝臓の疲れや胆のう機能の低下が隠れているケースもあります。

また、腸の働きが悪くなると、副交感神経の働きも低下し、全身の回復力やリラックス機能が落ちてしまいます。この状態が続くと、睡眠の質が悪くなり、筋肉の修復が不十分になり、結果的に肩こりが慢性化するという悪循環に陥ります。

睡眠不足も肩こりを引き起こす大きな要因のひとつです。睡眠中は筋肉や神経の修復が行われる重要な時間ですが、十分な睡眠が取れていないと、筋肉は硬くなりやすく、疲労が蓄積します。また、寝具が体に合っていない、寝る姿勢が悪いなどの環境的要因も、首や肩の筋肉に余計な負担をかけ、こりを助長させます。

さらには、ストレスによって自律神経が乱れ、内臓の動きが鈍くなることで内臓疲労を招き、それが肩こりとして表面化するというメカニズムもあります。このような心身のつながりに注目しない限り、いくら表面的に肩をマッサージしても、一時的な改善にとどまりやすいのです。

改善策としては、バランスの良い食生活、適度な運動、十分な睡眠を確保することが第一です。また、整体や鍼灸などで内臓反射点にアプローチすることで、内臓の機能回復と肩こりの軽減が同時に期待できます。

肩こりは、全身の疲労やストレス、内臓の不調といったサインを表す「体からのメッセージ」。そのメッセージに耳を傾け、体全体のコンディションを整えることで、肩だけでなく、健康全体の質を高めていくことが可能になります。肩こりを単なる症状として片付けず、体の深層から見直すことが、真の改善につながるのです。

7. 肩こりによる姿勢の変化と対策

肩こりは、単なる筋肉の硬直にとどまらず、全身の姿勢に大きな影響を及ぼします。とくに現代社会において、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、運動不足などにより、無意識のうちに姿勢が悪化し、それが肩こりの原因となるだけでなく、肩こり自体がさらに姿勢を崩す悪循環に陥るケースが非常に多く見られます。

まず注目すべきは「猫背」です。猫背になると、頭部が本来の重心よりも前方に移動し、それを支えるために肩や首の筋肉が常に緊張した状態になります。この状態が長時間続くと、僧帽筋や肩甲挙筋などの筋肉が硬直し、慢性的な肩こりを引き起こします。さらに、猫背姿勢では肺が十分に広がらず呼吸が浅くなるため、血流や酸素供給が滞りやすくなり、回復しにくい体質になってしまうのです。

姿勢の変化によって骨格にも影響が出ます。とくに頸椎(首の骨)や胸椎のアライメントが乱れると、神経の圧迫が発生し、肩こりに加えて頭痛や腕のしびれなどの症状が現れることもあります。また、肩甲骨の可動域が制限されることで、腕の上げ下げや背中への手の移動が困難になるなど、日常生活にも支障をきたすようになります。

正しい姿勢を維持するためには、まず自分の姿勢の現状を知ることが重要です。鏡で横から見たときに、耳・肩・骨盤・膝・くるぶしが一直線に並んでいない場合、それはすでに「不良姿勢」である可能性があります。特にデスクワークの多い人は、モニターの高さや椅子の座面位置、背もたれの角度などを見直すだけでも、姿勢改善に大きく寄与します。

対策としては、肩甲骨周囲の筋肉を柔軟に保つことがポイントです。たとえば、「肩甲骨はがし」と呼ばれるストレッチやエクササイズは、肩甲骨の動きを改善し、姿勢を正しやすい体に導きます。また、広背筋や腹筋を鍛えることで、体幹が安定し、自然と胸を開いた正しい姿勢を維持しやすくなります。

さらに、整体や姿勢矯正の施術では、骨盤や背骨、肩甲骨の位置を正しい場所へと導くことで、自然な姿勢が身につきやすくなります。長年にわたるクセや歪みは、自力で完全に矯正するのは難しいため、プロによるサポートを受けることで、より効率的な改善が見込めます。

肩こりを根本から解消するためには、筋肉だけでなく「姿勢」に対してもアプローチが必要です。日常のちょっとした意識の積み重ねと、定期的なメンテナンスを組み合わせることで、姿勢と肩こりの悪循環を断ち切ることが可能になります。

8. 目の疲れや顎関節との関係について

肩こりは首や背中の緊張だけでなく、目や顎といった意外な部位にも影響を及ぼしています。デジタル社会が進む現代では、パソコンやスマートフォンの使用時間が大幅に増加し、それに伴い「眼精疲労」や「顎関節症」といった問題が深刻化しています。これらの症状と肩こりは密接に関係しており、複数の不調が連鎖的に発生しているケースも少なくありません。

まず、目の疲れと肩こりの関係について見てみましょう。長時間にわたる画面の凝視や細かい文字の読み書きは、眼球を動かす筋肉を緊張させ、脳や首の筋肉にも大きな負担を与えます。特に「視神経」は脳と直結しており、目の疲れが首や肩の筋肉緊張へと波及します。また、目が疲れてピントが合いづらくなると、無意識に姿勢を前かがみにしてしまい、その姿勢が肩や首の筋肉に負担をかけるという悪循環が生まれます。

次に注目すべきが「顎関節」と肩こりの関係です。顎関節は頭部の左右にある関節で、食事や会話の際に重要な役割を果たします。顎関節周辺の筋肉、特に「咬筋」「側頭筋」は、肩や首の筋肉と筋膜でつながっており、噛みしめや歯ぎしりといったクセがある人は、それが首・肩の筋緊張につながりやすくなります。

近年の研究では、顎関節症の患者の多くに肩こりが併発していることが明らかになっており、とくにストレスが強い人ほど、歯を食いしばる傾向があり、筋肉のこりや関節の圧迫が悪化する傾向にあります。また、無意識のうちに舌や下あごに力を入れていることも肩こりの一因になると指摘されています。

これらの症状を改善するためには、目・顎・肩を連動してケアすることが効果的です。目のケアとしては、作業中に20分おきに画面から目を離し、遠くを数分間見る「20-20-20ルール」や、ホットアイマスクを使った温熱療法などが有効です。顎関節については、ストレッチやマッサージで咬筋をゆるめたり、姿勢矯正により噛み合わせの負担を軽減することで、症状の緩和が期待できます。

また、整体や鍼灸では、側頭部や顎周辺の筋肉を緩める施術を取り入れることで、肩こりの軽減とともに目や顎の不快感にもアプローチすることが可能です。身体の構造はすべてが連動しているため、局所的なケアにとどまらず、広い視野で体全体の調整を意識することが根本改善の鍵となります。

肩こりに悩む人は、ぜひ目や顎の不調にも目を向け、連動して起きている可能性を疑ってみてください。ひとつの症状の改善が、他の不調にも波及していく可能性は十分にあるのです。

9. トータルで整えるケアの重要性

肩こりは、肩だけの問題ではなく、身体全体のバランスの乱れから生じていることがほとんどです。そのため、単に肩をマッサージするだけでは根本的な解決にはつながりません。重要なのは、筋肉・骨格・内臓・神経・生活習慣といったさまざまな要素を総合的に整えていく「トータルケア」の視点です。

トータルケアとは、体全体をひとつのシステムとして捉え、複数の原因に対して同時にアプローチする方法を指します。たとえば、姿勢の崩れによって肩がこる場合、姿勢だけでなく、それを支える体幹や骨盤のバランス、呼吸の深さ、睡眠の質なども一緒に見直す必要があります。

実際に、肩こりの根本原因として多いのが「生活習慣の歪み」です。長時間の座り作業やスマホの使用、運動不足、睡眠の質の低下、ストレスの蓄積などが慢性的なこりを引き起こします。これらにひとつずつ対処するのではなく、まとめて改善することが、早期回復と再発予防の鍵となります。

たとえば、整体やカイロプラクティックによる施術で骨格のゆがみを調整し、並行して筋肉トレーニングやストレッチで柔軟性を高める。さらに、栄養面では筋肉の修復に必要なタンパク質やビタミンB群、マグネシウムなどを意識して摂取する。睡眠の質を上げるためには、寝る前のスマホ使用を控えたり、照明を落としたりといった環境改善も有効です。

また、呼吸にも着目すべきです。浅い呼吸は交感神経を過剰に刺激し、肩こりや自律神経の不調を悪化させます。深い腹式呼吸を意識することで、リラックス効果が高まり、筋肉の緊張もほぐれやすくなります。

このように、肩こりを根本から改善するためには「一箇所だけ」に注目するのではなく、「全体を整える」という視点が不可欠です。どれか一つだけを続けるのではなく、複数の対策をバランスよく、継続的に取り組むことが、症状の根絶と健康な体づくりにつながります。

肩こりは単なる筋肉の不調ではなく、身体と生活の歪みを知らせるサインです。トータルで整えることで、自分の体の声に耳を傾け、健やかな日常を取り戻していきましょう。

10. 肩こりから全身の健康を考える

肩こりは一見、日常的な不調のひとつに過ぎないように思われがちですが、実はその根底には、全身の健康状態や生活習慣が色濃く反映されています。つまり、肩こりの改善を目指すということは、体全体のバランスや機能を見直し、健康的な生活を取り戻すための第一歩とも言えるのです。

肩こりは単なる筋肉疲労だけでなく、骨格のゆがみ、血流障害、自律神経の乱れ、内臓疲労、睡眠の質の低下、精神的ストレスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こります。そのため、症状の改善には多面的なアプローチが不可欠であり、むしろ「肩がこる」という症状が、体の他の異常を知らせるサインとして現れているケースも多く見られます。

たとえば、姿勢の悪化が肩こりの直接的な原因であるとされる場合、その背景には体幹の筋力低下や運動不足が存在します。筋力の衰えにより体を支えることができず、結果として肩周辺の筋肉に過剰な負担がかかり、こりや痛みを引き起こしているのです。このような状況では、肩周辺をマッサージするだけでは根本的な解決には至らず、全身の筋バランスを整えるトレーニングやストレッチが必要になります。

また、肩こりが慢性的に続く人の多くは、血流の滞りにも悩まされています。これは冷えや運動不足、ストレスによる自律神経の乱れが引き金となり、全身の循環機能に影響を及ぼしている証拠です。血液の循環が滞れば、肩だけでなく手足の冷えやだるさ、頭痛やめまいなどの症状を引き起こし、放置することで生活の質(QOL)そのものが低下してしまいます。

さらに重要なのが、心の状態です。ストレスは肩や首の筋肉を無意識に緊張させ、呼吸を浅くし、筋肉の柔軟性や血流を悪化させる要因となります。慢性的な緊張が続けば、自律神経は常に交感神経優位の状態となり、休息や回復がうまく行われず、肩こりが慢性化していきます。このように、精神的なストレスが肉体の不調へとつながっているケースも少なくありません。

そのため、肩こりを改善するうえでは「からだ」と「こころ」両方にアプローチする必要があります。整体やストレッチ、マッサージといった身体的なケアと同時に、呼吸法や瞑想、ヨガなどでリラックス状態をつくり、自律神経のバランスを整えることが大切です。また、栄養バランスのとれた食事や規則正しい生活リズムを維持することも、肩こりの予防と改善に寄与します。

近年では、ウェアラブル端末や姿勢矯正アイテムなど、日常の中で姿勢や筋肉の動きをモニターできるツールも増えており、セルフケアの質を高めることも可能になってきました。これらを活用することで、自分の体調を客観的に観察し、必要なタイミングで適切なケアを行うことができれば、肩こりは「予防できる不調」として捉えることができるようになります。

肩こりをきっかけに、自分の身体や生活を振り返ることができれば、それは大きな健康の転機となります。肩の不調は、体全体のバランスが崩れているサインです。その声にしっかり耳を傾け、日々の生活に小さな見直しを積み重ねていくことが、健やかな体と心を手に入れる一番の近道なのです。

肩こりから始まる、全身と向き合う健康習慣

肩こりは単なる「肩の問題」ではなく、全身に影響を及ぼす健康のバロメーターです。日々の姿勢や生活習慣、運動不足、ストレス、睡眠の質といった要素が積み重なった結果として、私たちの肩に現れる「サイン」なのです。

今回の記事では、肩こりが引き起こす頭痛やめまい、背中や首の不調、集中力の低下、自律神経の乱れ、内臓や顎関節とのつながりなど、全身に及ぶさまざまな影響を解説してきました。さらに、姿勢や眼精疲労、心の状態に至るまで、肩こりという症状が実に多くの領域と関係していることをご理解いただけたのではないでしょうか。

慢性的な肩こりに悩まされている方は、「肩だけをなんとかしよう」とするのではなく、身体と心を包括的に見つめ直すことが大切です。筋肉のこりを緩めるだけでは根本的な解決にはならず、骨格のゆがみ、呼吸の浅さ、ストレス、食生活、睡眠環境など、複数の要素に同時に目を向ける必要があります。

そして忘れてはならないのが、「日々の積み重ねこそが体をつくる」ということです。どんなに効果的なケアでも、一度きりでは肩こりは解消しません。日常の中でできる小さな習慣をひとつずつ取り入れ、継続することが健康への確実な一歩となります。

肩こりはあなたの身体が発する「気づいてほしい」というメッセージ。ぜひその声に耳を傾け、これまでとは違った角度から自分の健康を見つめてみてください。肩こりをきっかけに、もっと健やかで快適な毎日を手に入れることができるはずです。

 

この記事を書いた人

立松 栄二

「整体サロンEX」院長 | 鍼灸師(国家資格)

立松 栄二

開院以来のべ12万人以上が来院する愛知県刈谷市の「整体サロンEX」院長。

元サッカーJ1トレーナーや元世界選手権帯同トレーナーなどの著名人も推薦する独自の技術で、身体の痛みやコリなどの不調を根本的な改善に導くため日々施術を行っている。

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施術家になった経緯や、どのような想いでこのブログを書いているかを語らせていただいています。